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株、300円安招いた「5G」期待剥落 投資家は成長力で選別

30日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比365円安の2万3013円で終えた。2019年4~12月期の主要企業の決算発表シーズンが始まった。これまで業績回復を先んじて織り込む格好で水準を切り上げてきただけに、株価の反応は総じてさえない。とくに次世代通信規格「5G」特需で上昇してきた半導体株の下げが目立った。市場では5G需要は20年後半に優勝劣敗の分水嶺を迎えるとの見方が出ている。

「1強とみていた半導体株まで売りに押されるとなると、買える銘柄が少なく悩ましいですね…」。アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之取締役は苦笑いする。

アドバンテスト5.4%安、SCREENホールディングス19.3%安、レーザーテック7.4%安――。30日午前の東京市場では半導体が総崩れの様相となり、日経平均の下げ幅は300円を超えた。29日にはアドテストが今期見通しを上方修正した一方、スクリンは今期予想を下方修正するなど、決算内容は銘柄ごとに濃淡がくっきり出た。それでも一様に売られた背景には、昨年から急速に織り込んできた5G期待の剥落がある。

みずほ証券が1月16~17日に投資家向けに開いた「第17回テックセミナー」でアンケートを実施し、5G関連の20年の見通しを聞いたところ、「前半、需要は想定を上回り、後半はモメンタム低下」との選択肢を選んだ投資家が44.6%と最多だった。これまで市場は5G端末需要急増の可能性をいち早く織り込んできたなか、みずほ証券の中根康夫シニアアナリストは「期待値が急速に切り上がっているため、5G対応のスマートフォンの売れ行きが芳しくなければ、株価が下期に息切れするリスクは否定できない」と話す。

今年最大の注目テーマである5Gの先行きに強弱感が入り交じり始め、リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表は昨年末に既に半導体関連株を手放したと明かす。昨秋の19年4~9月期の決算発表の際、先行きを楽観的に見通す企業が多く、そのシナリオに乗る形で株価が水準を切り上げてきた。そのため、「リスクの芽に過剰反応しやすく、下値余地の方が大きい」(佐久間氏)とみたという。

佐久間氏が代わりに保有するのが、独自のビジネスで安定成長が見込める銘柄だ。その一つが30日午前の東京市場で11.6%高の大幅高を演じたバリューコマースだ。Zホールディングスの傘下でアフィリエイト(成果報酬型)広告を手がける。足元でZHDのM&A(合併・買収)が増え、新商材の増加が期待できる一方、株価が過小評価されていると感じた。29日に発表した19年12月期の連結営業利益は前期比32%増だった。

世界を見渡せば、米中貿易戦争の影響で企業心理の持ち直しが遅れるなか、中国で発生した新型肺炎による経済の下振れリスクも警戒され始めている。市場では「セクター全体で買い上げる局面は終わり、当面は企業の成長力で個別に選別する流れが強まる」(佐久間氏)との声も聞かれる。5Gの一様な期待が剥落し、投資家の選別眼はいっそう厳しくなりそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵〕

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