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豊島逸夫の金のつぶやき

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米株価史上最高値でも利下げ必要か

2019/10/29 10:08
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10月米連邦公開市場委員会(FOMC)開催前日に米S&P500種株価指数が史上最高値を更新した。

株価好調。失業率3.5%は50年ぶりの低水準。

それでも米連邦準備理事会(FRB)は今回「予防的」利下げを決行する見込みだ。せねば、利下げをほぼ完全に織り込んだ市場が暴れる。やるしかない。

ただし、FOMC内で、利下げ反対者は前回の2人から増えるかもしれない。今やFRBの常とう句になった「データ次第」という表現も、「悪いデータ次第」というニュアンスに変わる可能性もある。良いデータが続けば利下げ打ち止めとの示唆だ。「タカ派的利下げ」と言えようか。

マクロ的視点では、米国景気後退入りリスクが和らぎ、経済成長減速幅がもっぱら議論される。年率2%程度なら御の字。1.8%程度でも許容範囲とされそうだ。

不況の兆しと懸念された逆イールドも解消している。米10年債利回りは1.84%台まで上昇。同2年債は1.64%台。代表的長短金利差はプラス0.2%にまで拡大した。

NY短期金融市場の安定化オペレーションも逆イールド解消に貢献している。短期国債が購入される「疑似」量的緩和が短期金利引き下げ効果を発揮しているからだ。その結果としてのFRB資産「拡大」には「利下げ」同様の緩和効果がある。

さらに米国経済楽観論を後押しするかのごとく、企業決算では「消費は底堅い」との表現が頻繁に見られたことも市場に安心感を醸成している。

トランプ流株価操縦術も巧みだ。

株価最高値更新寸前のタイミングで、米中貿易交渉進展に関して楽観的コメントを流した。12月発動予定の消費財中心の第4弾追加関税はしっかり「切り札」として温存。大統領選挙を意識して小出しに妥協しつつ株価を支える意図が透ける。いっぽう、国内対中強硬派に配慮して、「悪役」ペンス副大統領には対中強硬論を唱えさせている。さらに、トランプ氏が「中国より敵視」してはばからないFRBに対して、利下げ圧力を強めるのは必至だ。この露骨な政治介入への反発がFOMC内で利下げ抵抗論を誘発している面も否定できない。

米中貿易戦争エスカレートに備える予防的利下げワクチン投与も3回連続で十分との見方も根強い。仮に米国経済が景気後退に陥った場合の処方箋として利下げ余地を1%以上は残しておく必要もあろう。

株価の高値更新はFRBに一定の金融政策の自由度を与えることになりそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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