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豊島逸夫の金のつぶやき

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新型肺炎ショック、中国デフォルト懸念再燃も

2020/1/28 11:56
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注目された27日の米ニューヨーク(NY)株式市場。ダウ工業株30種平均は寄り付きでいきなり500ドル超安まで売られた後は、400ドル安前後で大きな価格変動なく推移した。ヘッジファンドも、とりあえず売ったものの、後は様子見の構えだ。27日が当面の売りのピークとの見方がヘッジファンドの間では目立つ。

いっぽう、上海の金融関係者が恐れるのは、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が民間企業経営を直撃して、デフォルト(債務不履行)懸念が再燃するリスクだ。

筆者が中国の銀行のアドバイザリーを務めたときに構築した人的ネットワークからも、新型肺炎が債務リスク悪化を招くシナリオを危惧する声が絶えない。

まずは、根雪のごとく積み上がった不良債権。中小企業の経営は、米中通商第1段階合意による「知的財産権保護」「技術強制移転」の厳格化に加え、新型肺炎による消費減退・販売減少のリスクに直面することになった。中国人民銀行は特に中小企業向け与信拡大を視野に金融緩和措置を繰り出すが、財政面の支援だけでは限界がある。すでに中国企業が発行した社債の債務不履行は2019年に過去最高を記録している。

さらに、巨額の債務を抱える地方政府が発行する地方債。中国人民銀行が「適格担保」として扱うとの「甘味剤」つきで銀行団が渋々引き受けている。しかし、武漢地区の経済停滞が他の経済脆弱な地域に波及すると、銀行も保有を絞り込む可能性がある。そこで信用収縮の連鎖を誘発するリスクが懸念される。

中国の大手銀行支店店頭の理財商品コーナー(筆者撮影)

中国の大手銀行支店店頭の理財商品コーナー(筆者撮影)

「理財商品」の破綻が顕在化する懸念も見逃せない。供給過剰のコモディティーセクターに投資して、年間6~7%程度のリターンを売り物にする投資商品で、ヘッジファンドなどのシャドーバンク(影の銀行)などが組成する。特に中国人富裕層に人気があり、大手銀行の支店でも販売されてきた。しかし個人顧客に商品のリスクを開示する「ディスクレ」文言は無い。店頭の女性行員もマニュアルに従い粛々と取り扱ってきた。販売する大手銀行は、バランスシートに載せず、売買の仲介手数料を稼ぎとしてきた。しかし、最近はバランスシートに載せるように指導されている。それゆえ、新型肺炎問題のあおりで素材価格が下落する可能性にヒヤヒヤしている。今回は特殊事態ゆえ、政府の支援が期待できるとの楽観論も中国ならでは。かりにデフォルト連鎖の実例がSNS(交流サイト)で拡散されれば、新型肺炎による株安で揺らぐ投資家心理がパニックに陥りかねない。このような社会不安は共産党長老たちが最も嫌うところゆえ、習近平(シー・ジンピン)氏も危うい綱渡りを強いられそうだ。

人民元売りが進行する結果、ドル高となると、民間企業のドル建て債務も危うい。

新型肺炎問題は中国の膨張債務が臨界点に近づくリスクをはらんでいるのだ。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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