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欧州新金融規制が迫る収益リスク(海外投信事情)

2018/7/31 12:00
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 欧州連合(EU)で今年1月に施行された新しい金融規制「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」が金融関連企業の収益を圧迫している。資産運用会社と証券会社の間で生じる取引の執行費用とリサーチ費用の分離明確化に加え、取引注文に関連する通話・通信の記録、取引詳細データの即時開示などが求められたからだ。新規制への対応がコスト増加要因として重くのしかかる。

■金融仲介業最大手、規制対応で収益下振れ

 金融仲介業最大手の英TP ICAPは10日、2018年12月期の1株利益がアナリスト予想の下限を下回りそうだと発表した。同日のロンドン証券取引所で株価は一時4割近く急落した。

 収益の下振れはMiFID2などに伴うシステム開発費用が想定以上に増加するためだ。しかも18年12月期の1000万ポンドに対して、19年12月期は2500万ポンドと2.5倍に増えるという見込みも明らかにした。市場では規制対応は短期間にとどまらないとの懸念につながった。

■「見える化」で高まるコスト意識

 新規制が証券会社に及ぼす影響も顕著だ。米ITGが世界の180以上の運用会社の取引データに基づいて調査した18年第1四半期グローバル・コスト・レビューによると、運用会社が証券会社に支払った株式売買手数料率は、英国ではMiFID2導入前の17年10~12月期の7.0%から、18年1~3月期は5.8%に低下。英国以外の欧州は同様に6.9%から5.2%に低下しており、「手数料率の大幅低下は分離明確化の影響が大きい」(ITG)という。

 分離明確化による費用の「見える化」は、運用会社のコスト意識を一段と高めている。英RSRCHXchangeが世界のファンドマネジャー418人を対象に実施した調査によると、欧州のファンドマネジャーの43%はMiFID2をきっかけに株式などのリサーチ提供会社へのアクセスを減らした。

 全体の75%のファンドマネジャーはリサーチ提供会社が提示するサービス価格は「持続可能ではない」との見通しを持っている。すなわちリサーチ費用に一段の低下圧力がかかることを示唆しており、証券会社にとっては収益悪化につながる要因だ。

■取引データ報告に向けたインフラ投資も

 取引データ報告に関する対応も急務だ。英テレウェアが金融サービス会社を対象に実施した調査によると、MiFID2の取引データ報告に対応可能なプロセスと技術を持つ企業は6割にとどまった。MiFID2に準拠しない企業には罰金が科される恐れがあり、「コンプライアンス違反の脅威が非常に高く、必要分野へのテクノロジー・インフラ投資は欠かせない」(スティーブ・ハワース最高経営責任者)。

 17年に年間2割上昇したMSCI世界株指数(ドル建て)は18年の折り返し地点でマイナス圏に転じている。資産運用環境も逆風とあって、金融関連企業にとって規制対応が一段と重荷になっている。

(QUICK資産運用研究所ロンドン 荒木朋)

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