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英ロボアド大手のナツメグ、顧客増も赤字拡大

海外投信事情

ロボアドバイザー英最大手のナツメグが10月に公表した2019年12月期決算は、売上高が成長するなかで営業赤字が拡大する構図が続いた。預かり資産は順調に増加し、収益基盤の拡充も進めているが、高い顧客獲得コストが引き続き業績の重荷になっている。

預かり資産4割増も営業赤字の拡大続く

ナツメグの19年12月期の売上高は前期比30%増の927万ポンド(約12億7000万円)だった。顧客数は8万人。預かり資産は同4割増の20億ポンド(約2740億円)に達した。「競争激化にもかかわらず、引き続き英国最大のデジタル資産管理アドバイザー会社であり、市場シェアは36%を占めた」(ナツメグ)という。

一方、利益面に目を向けると厳しい姿が浮き彫りになった。営業損益は2252万ポンドの赤字となり、前期(1864万ポンドの赤字)と比べて赤字幅が拡大した。新規顧客の獲得に向けた人件費やマーケティング費用の増加などが赤字拡大の要因だ。19年の売上高は212万ポンド増えたが、営業費用はその2.6倍となる561万ポンド増だった。売り上げの伸び以上にコストがかかる状況が続き、同社の業績に影を落とした。

事業を多角化、収益貢献は未知数

ナツメグは富裕層向けの投資一任サービスを、オンラインで若年層などの一般投資家向けに低コストで提供するのが特徴だが、顧客の財布の紐(ひも)をこじ開けようと相次いで新規サービスを開発している。ロボアドとヒト(専門家のアドバイス)を組み合わせた運用助言サービスやファイナンシャル・プランニング・サービスなどがそれだ。同社のポートフォリオ管理などのシステムを提供するBtoB(企業向け)事業も展開している。

ただ、助言サービスなどはコスト増加の一因にもなっているとみられ、顧客獲得コストの管理が課題の一つとなるなか、こうした事業の多角化戦略が収益貢献につながるかどうかは依然として未知数な面が多い。

コロナ禍きっかけに顧客数急増

2020年は新型コロナウイルス禍を受け、資産運用サービスをオンラインで手軽に提供できるナツメグに追い風が吹いているようだ。報道によれば、足元では同社の顧客数が急増しており、預かり資産も拡大しているという。競争が激化するなか、ナツメグにとってはいかに効率的なプロモーション活動で顧客を呼び込めるかがポイントになりそうだ。

ナツメグは昨年、当時の経営トップが「2022年までに黒字化を達成する」との意気込みを語っていた。その経営トップはすでに退任し、現在は新しい経営陣がかじ取りを進めているが、黒字化に向けた試行錯誤はまだまだ続きそうだ。

(QUICKリサーチ本部 荒木朋)

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