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豊島逸夫の金のつぶやき

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新型コロナ世界不況の足音、ドル金利沈没

2020/2/26 11:08
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実は米国の新型コロナウイルス対策も日本並みだったことが明るみに出てきた。楽観論が覆い隠していた弱点が露呈し、ニューヨークダウ工業株30種平均は25日までの2日間で1900ドル超の急落となった。

米国でこれまで感染者数が少なかったのは、迅速な検査、分析が行われなかったためとの指摘が金融・資本市場での不安感を誘発した。韓国では3万5千人を検査して約900人の感染者が確認された。しかし、米国の検査分析能力は1日で50~100人と大手製薬会社幹部が発言し、投資家の関心が集まった。結局、米疾病対策センター(CDC)の受け入れ能力には限界があるというわけだ。

すでに米国内で感染が拡大していても確認できない可能性がある。特に米国内のアジア系コミュニティーでの集団感染が危惧されている。このような実態に対して、トランプ大統領は大統領選を視野にコロナウイルス対策による経済収縮効果を嫌って後手にまわった、との指摘が市場で広がる。

米国におけるコロナウイルス対策の司令塔はCDCで、投資家は週3回行われるCDCの定例記者会見に注目する。担当者は会見で「米国でのリスクはいまだ低い」とした。しかし、ニュースの見出しとなったのは「とはいえ、米国内でのパンデミック(大流行)はif(あるかどうか)ではなくwhen(いつ)の問題だ」との発言で、これが市場を独り歩きした。ワクチン開発も「来年の発生には」間に合う見通しだ。

米国民に対しては「集会自粛、休校、テレワークにより、コミュニティーで備えてほしい」とCDCは促す。米保健福祉省長官による「医療の現場ではマスクが3億枚必要」との発言も伝わった。市民はマスクの買いだめに走り、ネットではマスクが高値で売買されるようになった。エコノミストたちのミーティングでは「皆がこれだけ集まるのは、今年はこれで最後かも」とのつぶやきが聞かれる。

これまで対岸の火事として切迫感に欠けた米国の対応は結局、日本とさして変わらないレベルだった。

今後は米国内の感染者数と米10年債利回りの相関が関心を集めそうだ。仮に死者が出ればドル金利の急低下というシナリオが意識される。米債券市場では3カ月物米財務省証券から30年物国債まで利回りが1・1~1・8%の狭い範囲に収まる異例の現象が生じ、「1%クラブ」とのネーミングまでついてきた。

25日も債券市場が発する異音に、アルゴリズム取引が敏感に反応した。米10年債利回りが一時1・3%台に低下し、株価の下落が加速する場面があった。同日のNYダウ平均は170ドル超の反発で始まったが、その後は一貫して下げ基調となり、終わってみれば879ドル安だった。

米国経済の成長率が1~3月期は1%程度にとどまるとの見方も出てきた。仮にコロナウイルスの感染が急拡大しなくても、予防措置として集会、外出、旅行が控えられれば経済を萎縮させる。これまで底堅かった米国の個人消費に影響を及ぼすのは必至だ。

米リッチモンド連銀が25日に発表した2月の製造業景況指数は、市場予想を大幅に下回るマイナス2だった。業種別ではエネルギー関連の需要急減リスクが懸念され、関連の低格付け債(ハイイールド債)が売られている。

ネバダ州の民主党党員集会で反ウォール街のサンダース候補が圧勝したのも、株式相場の下押し要因として無視できない。外為市場では米金利の急低下がドル売りを促した。

「感染拡大国」として日本への警戒感が高まった際は円売りが顕著になったが、米国へも波及となると米ドルが売られる。日米金利差の縮小も加わって1ドル=110円の大台での攻防となった。安全通貨は米ドルか円か、決着には日米の今後のコロナウイルス対応と展開がカギになりそうだ。これまでの外国為替市場にはなかった新たな相場変動の変数である。

金相場はいち早く調整局面に入った。今週1トロイオンス1700ドル台に接近したところから利益確定の売りが増え始めた。株価の急落にもかかわらず、1630ドル台に沈んでいる。株の損失を補うため、金には利益を捻出するための売りが出やすい。安全資産は米国債への一極集中がさらに強まり、米長期金利に下げ圧力がかかっている。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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