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株、自社株買い「8割減」 ソフトバンクGの上値が重いワケ

26日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発した。前日比214円高の2万2474円で前場を終えた。前日の米株高に加え、3月期決算企業の期末配当の支払いに伴う再投資目的の買いが追い風になった。きょうの市場で注目を集めたのが前日に大規模な自社株買いを発表したソフトバンクグループ(SBG、9984)。きょうはひとまず買われているが、市場の評価は分かれている。

SBGが最大4.5兆円の保有資産の売却計画と、それを原資とした最大2兆円の自社株買いを実施すると発表して3カ月あまり。今回発表した5000億円を上限とする自社株買いは5月に続いて2度目となり、上限額の合計は1兆円に達した。26日の東京市場でSBG株は一時3.9%高まで上昇した。とはいえ、2兆円の自社株買い計画を発表した直後の3月23日に制限値幅の上限(ストップ高水準)まで上昇した点を踏まえると、やや上値が重い印象を受ける。

「織り込み済み」。こう受け止める市場関係者は多いが、それだけではない。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「コロナショックをきっかけに投資家の間で過度な株主至上主義を見直す動きが広がっている」と話す。身の丈を上回る株主還元を続けた結果、経営が苦しくなった米航空機大手のボーイングの例が念頭にある。

世界45カ国以上の年金基金や運用会社からなる国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)は4月下旬、企業に従業員の解雇を避けるよう求め、配当の減額を容認する姿勢を初めて打ち出した。「長期目線で運用する投資家は企業に対し、目先の利益を追求するのではなく、幅広いステークホルダー(利害関係者)が納得できるような持続的な成長を求める姿勢を強めている」(ニッセイの井出氏)

コロナ禍の影響で国内では自社株買いを実施する企業が減っている。東海東京調査センターの試算によれば、例年最も自社株買いの決議が増える時期である4~5月の推移をみると、2020年は8147億円だった。3兆5825億円が決議された前年同期から8割近く減った計算だ。

同センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「期初に今期業績予想を未定とする企業が相次ぐほど景気が冷え込み、資金繰りの安定性を重視する企業が増えているのではないか」と分析する。

リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表は「日本企業は米国企業に比べ、もともと総還元性向が圧倒的に低いが、稼ぐ力を高めながら資本効率を向上させるといった取り組みをしている企業もあり、自社株買いの評価は一律ではない」と話す。

農林中金全共連アセットマネジメントの山本健豪ファンドマネージャーは「企業の成長ステージにあわせて、財務の状態やリスクシナリオを常に開示しながら、適切な手元資金の使い方をしてほしい」と求める。コロナ禍をきっかけに企業や投資家は、自社株買いのあり方の見直しを迫られている。

〔日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵〕

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