6/3 12:00更新 マーケット 記事ランキング

最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 22,615.00 +289.39
日経平均先物(円)
大取,20/06月 ※
22,670 +300

[PR]

投信コラム

フォローする

菟道さんは指数連動型と株の二刀流(投信ブロガー)

2018/5/29 12:00
保存
共有
印刷
その他

ブログ「The Arts and Investment Studies」を運営する「菟道(うどう)りんたろう」さんは大阪のメディア関連企業に勤める40代前半の独身男性で、両親宅での3人暮らし。「Arts」には芸術ではなく教養の意味合いを込め、ブログのサブタイトルに「教養としての国際分散投資の研究と実践」を掲げている。指数連動型のインデックスファンドを中心に積み立て投資しながら、個別株は半永久的に保有するつもりという菟道さんに「二刀流」をこなすための心得を聞いた。

■生まれた時から株を保有

――投資のきっかけを教えてください。

「祖父が株式投資をしていたため、株式保有が当たり前の家庭環境で育ちました。私が生まれた時には、祖父が保有する電力株を私名義に1000株(当時の1売買単位)変更してくれました。幼い頃から配当金のお知らせや株主通信を見る機会があり、株式には何かと愛着がありました」

「株券の電子化をきっかけに、初めて自分名義の口座を開き、株式の管理もするようになりました。社会人になると少し余裕資金ができたので、自分でも株を買おうかなと思っていた矢先、リーマン・ショックと原発事故で保有していた電力株が大暴落。銘柄分散の大切さを痛いほど思い知ったのです」

――なぜインデックス投資なのですか。

「以前は投信といえばアクティブ(積極運用)ファンドのイメージが強く、購入手数料や運用コストが高くつくため投資しようとは考えもしませんでした。ところが、ちょうど電力株が暴落した後の2011年ごろ、インデックスファンドやETF(上場投信)だと手数料が安いことを知り、『分散投資の手段として有効ではないか』と思い始めました」

「当時はインデックス運用に関する情報が限られていたのですが、個人ブログは役に立ちました。そこから色々と学ぶうちに、自分でも情報発信してみたくなり、恩返しの意味合いを含め15年にブログを立ち上げました」

――実際に投資信託を購入し始めたのはいつですか。

「13年からです。当初はまとまった資金で個別株2~3銘柄とETFを購入し、インデックスファンドの積み立て投資も開始。勤めている会社には企業年金制度がないので、個人型確定拠出年金(iDeCo)も13年中ごろから始めました。余裕資金があれば、めぼしい個別株をその都度、物色することもあります」

「サラリーマンにとっては、毎月の給与のうちいくばくかを一括投資し続けるのがコツコツ投資そのもの。一括投資と積み立て投資のどちらが有利とか不利とかはあまり意味のない議論だと思います」

「毎月5万円を目安に投資しています。iDeCoでは拠出額上限の2万3000円まで活用し、残りは特定口座で投信を積み立てています。少額投資非課税制度の一般NISA口座は個別株投資に使い、個別株に投資できない積み立て型のつみたてNISAは活用していません。株の配当金が非課税になるNISAのうまみをつくづく感じています」

――資産配分について教えてください。

「投資を始めた13年は現預金70%で株式30%(ほとんどが日本の個別株と先進国株ETF)でしたが、積み立て投資を続けてきたことで、資産配分が自然と変化していきました」

「18年4月末では全金融資産のうちリスク資産と無リスク資産を半々にしています。リスク資産は主に株式7割、外国債券3割を基準にして、年1回機械的にリバランス(資産配分の再調整)をします。無リスク資産は主に現預金ですが、国内債券型投信も含めています(図A)

■個別株とインデックスファンドの二刀流

――投資スタイルがユニークですね。

「インデックス投資と個別株への投資を同時に行っています。個別株は半永久的に保有するつもりですが、投信の方はお金が必要になればいつでも売却するというスタンスです」

「個別株の選別は多少勉強しないといけませんが、値動きは永久保有が前提であれば、それほど気になりません。投信と違って保有コストが掛からないのが株の利点で、低コストのアクティブ運用そのものです」

「祖父から株を引き継いでいることもあって、個別株は売らずに買い増しながら代々相続していきたいという考えです。事業の将来展望を自分なりに思い描いてストーリー立てし、有望そうならば配当や収益などの投資尺度をチェックして買い付けています」

「ほとんどが超大型の老舗日本企業ですが、最近はFANGと呼ばれる米国のハイテク・IT(情報技術)関連銘柄にも関心を持っています。やはり社会・産業構造が変化する可能性は無視できません」

「今は日米あわせて個別株を12銘柄、ETFを含む投信は24本程度保有しています。低コストのファンドが登場するたびに積み立て商品を変更した結果、保有ファンドが増えてしまいました」

――アクティブファンドも購入しているのですか。

「インデックスファンドの選定ポイントはずばり運用コストですが、低コストであればアクティブファンドも選択肢に入れています。実際、運用会社社長の話をじかに聞き共感できた『ひふみ投信』と、ファンドの受益者に無料提供してくれる機関投資家向けの各種リポートが参考になるので『iTrust世界株式』を毎月、積み立て投資しています(図B)

■敗者復活戦で勝ち上がり

――資産運用をしてよかったと思うことは。

「将来の不安が減り、経済についての理解が格段と深まりました。『コツコツ投資』を実践することで、預金を含む金融資産が増加し、年収がそれほど高くなくても同世代の平均をおそらく超える資産額を手にすることができました」

「大学卒業後に空前の就職氷河期に入ってしまい、私は『失われた世代』の一人です。実際、今の仕事に巡りあい就職できたのは29歳の時です。失ったものを取り戻し、リベンジを果たす手段の一つが投資だと思います。今は敗者復活戦を続けているような気持ちでいます」

■将棋と同じ。まずは「つみたてNISA」で実践

――投資初心者へのアドバイスをお願いします。

「インデックスファンド中心にコツコツ投資する『つみたてNISA』は低コストで投信選びの難易度も低いので、投資の知識がない初心者にぴったりです。iDeCoも同様です」

「投資初心者はインデックス投資を通じて、『投資対象や地域の分散』、『積み立て投資』、『長期運用』、『リスク許容度』といった重要で基本的な考え方をマスターしながら、投資の感覚を磨くことができます。市場平均とほぼ同じ運用成績を確保できるのも、インデックス投資の利点です」

「私の趣味のひとつに将棋がありますが、資産運用というのは将棋とよく似ています。将棋には様々なセオリー、定跡、手筋が確立されていて、初心者の素人将棋と少しでも将棋を勉強した人の将棋では、実力の差が歴然としています。資産運用も同じで、投資に慣れていくと、自然と定跡、手筋に従って運用するようになり、実力も備わっていくような気がします」

■教養としての「国際分散投資」

――国際分散投資が教養(Arts)という意味を教えてください。

「日本経済の在り方自体が大きく変化しています。生産力と消費欲を高め生活を劇的に豊かにすることのできた昔と違い、現状の日本で国力が一段と高まるのはもはや望めません。日本全体で今の生活水準を将来にわたって維持していくには、これまでに蓄積してきたストックである個人の金融資産を最大限に生かす道を進むしかありません」

「一個人の話に立ち戻ると、昔は給料もどんどんアップしてお金をためるのは容易でした。ところが今では賃金がそれほど上がらないので、『投資』で補う必要があるということです」

「その一方で、低コストで世界に幅広く少額から分散投資ができるようになったのは大きな変化です。一部の人の単なる趣味ではなく、多くの人が将来を生きるための『教養』として社会全体のストックを生かす『国際分散投資』を理解し、それを実践することが求められる時代がやってきたと思います」

「国民のストックを生かすも殺すも、そのカギを握る資産運用業界の使命は重く、公共的なインフラの運営を担っているという自覚と行動が求められていくはずです」

「私自身はこれからも、市民の生活に密着した教養ある投資について、ブログで発信していきたいと考えています」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)

投信コラムをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム