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豊島逸夫の金のつぶやき

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「五輪中止なら日本株買い」ヘッジファンドの読み

2020/2/25 9:02
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「日本はオリンピック開催を強行するのか」

新型肺炎感染拡大による世界株安連鎖を受け、ヘッジファンドが筆者に問いを投げかけてくる。東京五輪・パラリンピック開催が危ぶまれるなかで、中止・延期が決定されれば、日本株買いとの読みが透ける。噂で売って、ニュースで買う、という常とう手段だ。

元祖ヘッジファンドのジム・ロジャーズ氏も「災厄は買い=Buy Disaster」と常に語る。東日本大震災のときも、直ちに日本株を買ったと述懐している。

今回の世界株安連鎖の元凶は新型コロナウイルスだ。今後の展開を読める専門家は世界中に誰一人いない。この不透明感がリスク資産としての株を売る最大要因と言える。同時に、視界不良の地合いは投機筋にとって格好の草刈り場になる。

市場を震撼させた週末の新展開は以下の通りだ。

韓国では警戒レベルを最大水準に引き上げた。イタリアでは国内総生産(GDP)の3割を占めるロンバルディア州(ミラノ)とベネト州(ベネチア)の10都市が地域封鎖された。休校、集会制限、レストラン・劇場の閉鎖が相次ぎ、ミラノではスーパーでの買い占めも見られた。公共交通機関は回避されマイカー渋滞が多発した。感染経路が不明なのが最大の不安要因だ。イタリア株も5%超急落した。スイス、オーストリアはイタリアからの入国監視を強めた。相互に出入国審査を免除するシェンゲン協定の暫時棚上げも議論される。

中東でもイランで国内感染が拡大した。パキスタンが一時国境封鎖に動いている。

次は、どの国か。市場は身構える。

これまで楽観論が支配してきた米国市場も、さすがに不安感を強める。好調が続いたマクロ経済指標だが、直近に発表された2月のマークイットPMIは49.6と、好不況の50を約4年ぶりに下回った。これは米政府機関が閉鎖された13年10月以来の低水準だ。それでも総じて米国経済は堅調で、相対的にショック耐性は強いが、アジア系住民が多い西海岸では切迫感が強まる。新型肺炎によるサプライチェーン(供給網)破断の影響として中国からの輸入減を最初に感知するのも西海岸の港湾だ。ネバダ州民主党集会で反ウォール街の最先鋒サンダース氏が圧勝したことも、投資家心理を冷やした。

24日のダウ平均は800~1000ドル安のレンジで終日乱高下したが、結局1031ドル安で引けている。

市場が最も不気味に感じることは債券市場で米10年債が1.36%前後まで急低下したことだ。英国国民投票でEU離脱派が勝利した時とほぼ同じ低水準である。2020年の米景気後退は回避され一定の減速に留まるとの楽観論を揺るがす数字だ。3か月財務省証券が1.54%前後なので、逆イールド幅拡大が鮮明だ。

それでも、利回り低下とはいえ、いまだプラス金利の米国債にマネー流入は集中する。

安全資産として金も買われ、瞬間的には1700ドルの大台をうかがう局面もあった。しかし、危機感が強まるとマージンコールによる現金捻出の必要性から真っ先に売られるのも金である。結局、伸び悩み1660ドル前後まで反落して引けた。

当然、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ確率は上昇している。年内3回利下げ説まで顕在化しつつある。しかし、金融危機と異なり、疫病危機によるサプライチェーン破断に対して、金融政策の効果は限定的だ。

外為市場の景色も変わった。

日本の連休前には、日本の国内感染が嫌気され円安が進行した。しかし、感染が世界に波及すると、日本企業のレパトリ(海外資産引き揚げ)も意識され、円買いとの綱引き状態になった。ドル金利急低下もドル売り要因となる。結局111円台から110円台まで円高が進行した。

総じて、新型肺炎の3月ピーク、4~6月期には回復基調のメインシナリオがリセットされている。これまでのリスクシナリオとされた長期化シナリオの点検が始まり、市場も織り込み始めた段階といえよう。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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