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豊島逸夫の金のつぶやき

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外貨保険問題、円建てリスク開示も必要

2019/9/24 10:02
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外貨建て保険の為替変動リスクや割高なコストを認識しないまま契約し、あとでトラブルになる事例が頻発している。外貨リスクの開示は当然だが、プロの視点では円建てゆえのリスクを知ることも重要だ。

保険商品は、老後などを視野に10年単位の長期保有が中心だ。今でこそ、円高リスクが強く意識されるが、長期でみれば円安も懸念要因だ。筆者の友人であるジム・ロジャーズ氏は、私との過去の対談で何度も「日本の円安リスク」に言及している。「少子高齢化なのに移民にも抵抗感を示す国の将来は厳しい」と、日本の抱える問題点を指摘する。

一方、筆者には日銀や財務省のOBである友人も多い。彼らには、虎の子の退職金を円資産で持ちたがらない傾向が目立つ。国内総生産(GDP)ベースで米国は日本の3倍の規模ながら、量的緩和の結果、米連邦準備理事会(FRB)と日銀がそれぞれ保有する総資産はほぼ同額という事実を現場でみてきた人たちだ。円という通貨の番人だった人たちが、退官した翌日から個人投資家になるとドル建て資産の運用についてアドバイスを求めてきたりする。切羽詰まったような真剣な様子を見せつけられると、背筋がヒンヤリする。

日本人の多くは、円資産の保有リスクに鈍感だ。海外旅行で、一万円札をドル札に両替する時に初めて、円という通貨の購買力の変動に気がつくことが普通だ。

株も外貨も運用していないから関係ないという人たちに、私が「皆さんの年金のかなりの部分は外貨建て株式や債券で運用されている」と話すと、「マジですか!?」と驚きの反応が返ってくる。こちらも驚いてしまう。

例えれば、ルーレットでチップを張る場所は円、ドル、ユーロなど色々ある。そこに日本人だけは、円のところにチップを山のように積み上げ安堵している。通貨リスク分散という専門用語で説明しても、意味が伝わらない。

「プロのあなたは、どうしているのか」という質問も頻繁なので「私の資産の半分近くは長期のドル建て。外国為替証拠金取引(FX)ではない」と事実を明らかにしている。

一般家庭でも、円安が進行するとスーパーの売り場では輸入素材・製品の「値上げ」を実感するが、株高には安堵する。しかし、お茶の間で老後を託した年金の「通貨リスク」が話題になることはまれだ。

筆者は、外貨アレルギーの強い国民性を考えて、まず居酒屋や女子会一回分の予算程度の無理のない金額での外貨の試し買いを薦めている。ホットな湯につかる前の「かけ湯感覚」だ。そうすると、わずかな金額でもその価格変動が気になるので、それまでワイドショーしか見なかった人々も国際ニュースに興味を示すようになる。投資は理屈ではなくまずリスクを体感すべきだ、というのが筆者の持論だ。そこで、きょう買った外貨が、翌日に少しでも下がると「目の前が真っ白になる」というリスク耐性が弱い人には、投資は薦めない。

いっぽう、国際ニュースをみることにより、日本人が疎いとされる「国際感覚」が少しでも刺激されれば、その「国際体験」は必ず人生で役立つとも説いている。これは、投資の成果より、はるかに得難い体験だろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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