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ゼネコン、リニア以外のリスク 不動産投資加速に懸念

2018/1/24 11:05
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 大手ゼネコンが東京五輪後に新たなリスクを抱えそうだ。首都圏再開発需要の一巡をにらんで、各社がオフィスビル開発への投資を加速し始めた。最新ビルが大量供給されるとビル全体の市況悪化につながりかねない。大林組の社長交代に発展したリニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件に揺れる建設業界で別の懸念が広がってきた。

 「都心5区のビル用地、あるいは既存ビルを取得しようとしても、大手をはじめゼネコンに高値で持っていかれてしまう」――。大手不動産会社でビル開発事業を担当する役員はこう明かす。ゼネコンによるビル用地取得が目立ち始めたのは2、3年前から。最近になって勢いが出てきたという。

■ビル取得を促す潤沢なキャッシュ

 清水建設は2018年3月期(単独ベース)に不動産保有残高の上限を1500億円と前期に比べ500億円積みますほか、鹿島も国内不動産の投資枠を設けたといわれる。

 大手ゼネコンによるビル投資加速は各社が抱える潤沢なキャッシュに裏打ちされている。企業が使い道を自由に決められる純現金収支(フリーキャッシュフロー、FCF)は業績拡大で着実に増えている。QUICK・ファクトセットによれば、大成建設、大林組、清水建、鹿島の4社合わせた2017年3月期のFCFの総額は約6050億円のプラスと前の期の3倍強の水準に達していた。

 大手のなかで大成建と鹿島は次期中期経営計画の発表を今春に予定している。大成建の場合「豊富なキャッシュフローを株主還元や成長投資にどのように配分するかが最大のポイント」(SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリスト)だ。大成建は株主還元に前向きだが、他のゼネコンは「潤沢なキャッシュを株主還元に振り向けるより、将来のための成長投資、不動産開発に割り当てる可能性が高い」(国内証券の建設アナリスト)との見方が多い。

 不動産投資に走る大手ゼネコンの足元で何が起きているのか。東京五輪後の2022年ごろまでのオフィス市況を占う象徴的な例がある。

■「大有丸」で集中大量供給

 住友商事は中央区の晴海アイランドトリトンスクエアから本社を移転する予定だ。住商の本社と関連会社が移転して発生するトリトンスクエアの空室が中央区の空室率を悪化させ、2017年12月末の都心5区のオフィス空室率を押し上げた。新築ビルに移転するために既存ビルに空きが生まれる「二次空室」という現象だ。

 住商が本社を移す場所は千代田区大手町。都市再生機構とNTT都市開発が、逓信ビル、東京国際郵便局ビル、関東郵政局の跡地に建設中のオフィスビルに移転する。大手町や丸の内では三菱地所が再開発を進めてきたビルに企業の集積が進んでいる。三井不動産も日本橋をはじめ東京駅の八重洲エリア、有楽町でも大規模な再開発を展開している。

 大手町、有楽町、丸の内の頭文字をとった「大有丸」エリアで最新の設備を導入した超高層ビルがオフィスとして本格的に稼働し始めるのは18年以降だ。こうした新築ビルへの移転で設備等で見劣りする既存ビルの空室率がじわじわ悪化する。「二次空室を埋めるために賃料下落で最も影響を受けやすいのが、大手ゼネコンが手掛けている1フロアの面積が660平方メートル、200坪に満たない中規模程度のビル」(大手不動産会社の役員)とみられる。

 大手ゼネコン株の先行きには、リニア中央新幹線の入札に関わる談合事件の影響に加え、都心のビル市況という変数が加わることになる。

〔日経QUICKニュース(NQN) シニア・エディター 齋藤敏之〕

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