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かえるさん、資産運用で活路を開く(投信ブロガー)

かえるさん(40代前半の男性)はファイナンシャルプランナー(FP)会社に勤め、現在は関西でパートタイマーの妻、小学生の子供2人の家族4人暮らし。社会人の子供1人は独立して生計を立てている。ブログ「かえるの気長な生活日記。」には、足掛け13年にわたる長期の資産運用や日々の生活のつれづれがつづられている。ブログをきっかけに著書を出版し、FPに転身するなど、資産運用に活路を見いだしてきた「かえるさん」に投資を始めたきっかけや変遷を聞いた。

高校卒業後に就職、転職で将来に不安

――投資のきっかけを教えてください。

「工業高校を卒業してすぐ官公庁向けの設計の仕事に就きました。5年後には先輩が経営する会社に転職し、土木関係の設計業務をしていました。ところがある日、このままでは退職金もなく、国民年金が満額で月8万円弱しかもらえないのを知ってがくぜんとしました。老後にもらえる年金はそっくりそのまま家賃に消えていくほどの金額だったからです。2004年ごろのことで、当時は賃貸住宅に住んでいました」

「将来は子供の教育費も増えるので『何とか貯蓄をしなければ』と思った時、偶然目に入ったのがネット証券の広告です。10万円以下の売買手数料が無料だったため、『お金が増えたらラッキー』という軽い気持ちで、株取引を始めました」

ブログがきっかけで出版、そしてFPに

――ブログを立ち上げたのはいつですか。

「翌年の05年にブログを開始しました。最初は、趣味の陶芸や私生活を含めた生活記録を書き込んでいましたが、投資の楽しさを知るにつれて、勉強の過程や資産運用で気付いたことを盛り込むようになりました」

――FP資格を取得したのは。

「ブログの内容に目を留めてくれた出版社から『お金に関する記事を書いてほしい』との依頼を受けました。自分の名前で本を出すのは『責任を伴う』と考え、12年にFP資格を取得しました。そして現在はFP事務所に勤め、個人の資産形成のサポートをしているというわけです」

個別株から投資をスタート

――最初に購入した金融商品は。

「投資を始めた04年ごろは、上場個別株の売買単位が低くなり少額でも購入できる株が増えていました。最初に購入したのは『スターバックス コーヒー ジャパン』で、当時の1株を2万3300円で買って2万3420円で売りました。もうけは僅かですが、簡単に預金の利息よりも高い金額が手に入ったので、『これはいけるかも』と投資のうまみを感じました」

――資産配分を教えてください。

「個別株100%から始まり、現在は個別株が59%、投資信託が23%、その他が18%の割合です。個別株は主に国内中小型株10数銘柄を保有しています。投信のうち国内資産は5%で、外国株が中心の海外資産が18%。その他は、不特定多数から資金を集めるクラウドファンディングなどへの出資です(図A)」

「17年から18年にかけ、住宅ローンの支払いなどのため、まずは投信を売却しました。今は徐々に個別株を減らし、目標とする配分(海外:30%、日本・その他:70%)に向け、投信を買い戻している最中です」

日本株はアクティブ型、海外株はインデックス型で

――投信を初めて購入したのはいつですか。

「05年に銀行で紹介された毎月分配型の外債投信を購入したのが最初ですが、その後、直販系投信会社の先駆けだった『さわかみ投信』や『セゾン投信』の社長の話を聞き、考え方に共感しました」

「投信で世界の株式へ分散投資できることを知ったのもその頃です。それ以来、日本株はアクティブ(積極)投信、勘所の無い海外株は指数連動型のインデックス投信を通じて投資しています」

――アクティブ型とインデックス型の使い分けは。

「インデックス型はコストに加え、運用資産規模と販売会社の多さを、アクティブ型は運用会社の理念と継続性を重視してファンドを決めています」

「アクティブファンドは、低成長と言われる日本の中でも、多くの成長企業(特に中小・中堅企業)に投資する楽しさを実感できるよう、積極的な情報開示で運用内容がよく分かるファンドを選んでいます(図B)」

毎月4万円の投信積み立て

――資産額と毎月の積立金額を教えてください。

「最初は元本10万円でスタートし、17年までの投資元本は累計で約700万円です。17年末の預貯金を除くリスク性の金融資産は2400万円まで増えました。住宅ローンの頭金や教育資金で1000万円を引き出したので、現時点の金融資産は1400万円です」

「毎月4万円を積み立てています。内訳は、特定口座で1万円、子供名義で合計2万円、iDeCo(個人型確定拠出年金)が5千円、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)が5千円です。今年から住宅ローンの返済が始まったので、住宅ローン控除を受けると節税メリットが少し落ちるiDeCoの拠出額を下げました」

「これらとは別に、投資に消極的だった妻が今年からiDeCoに加入し、毎月1万円の積み立て投資を開始しました」

「積み立て以外の一括投資もします。割高になった個別株を売却して現金化した後に、投信を購入しています」

少額の長期積み立て投資で成功体験

――資産運用での失敗体験と成功体験を教えてください。

「失敗体験としては、リーマン・ショックの時、個別株の株価が半値まで下がりました。ロシア株ファンドが一時マイナス70%まで下落したので、ほぼ底値で売ってしまいました。個別株では、08年に話題になっていた不動産流動化銘柄を買ったりしましたが、流行に乗っても、あまりいい結果になっていません」

「07年から08年には、それまで信用取引や株式分割バブルなどでもうけていた人達が表舞台から消えていきました。一方、高卒で年収も高くない自分が、少額の長期投資で金融資産をそれなりに増やせたのは、大きな自信になりました。おまけに、お金に関する仕事にも就け、住宅ローンの頭金や長女の教育費もまかなえました」

身近な金融機関への相談も。その前に本を3冊

――投資初心者の若者へのアドバイスをお願いします。

「大学や専門学校を卒業した若者の中には、奨学金返済の負担を背負う人も多いでしょう。普段の生活をするだけで精いっぱいかもしれませんが、自分の体験からも、出費にメリハリを付け、早くから積み立て投資を始めたほうがいい結果になると思います」

「ただし、金融商品に関する常識的な見識を得られるよう、お金に関する本を最低でも3冊くらい読んでから始めるのがいいと思います。社会保障制度に加え、金融商品の仕組み、インデックス運用とアクティブ運用の違いやコスト、換金のしやすさなどを知れば、投資が決して怖いものでないことが分かるでしょう」

「銀行などの窓口で投信を購入すると販売手数料が高いという理由だけでネット証券で購入し、後から管理できなくて困っていると相談を受けることがあります。FPに相談料を払うのであれば、販売手数料を安く抑えて購入できたとしても、あまり意味がありません」

「投信ブロガーの情報も参考になりますが、そのまままねをするのが難しいと感じた時は、最低限の知識を身につけてから身近な金融機関で資産運用の相談をするのもありだと思います」

「ただ、本や雑誌を持参して『こういうファンドを買いたいが大丈夫か』といった相談を受けることがままあります。分からないものには決して手を出さず、販売手数料や運用コストに納得した上で、購入ファンドを決めるのが大切です」

「その点では、家電製品や家具を同一メーカーでそろえるように、投資対象別に分かれた低コストのインデックスファンドを同一運用会社のシリーズの中でそろえてみるのもおすすめです」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)

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