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セゾン投信社長「経営理念変わらない」 日本郵便の出資受け入れ

クレジットカード大手クレディセゾン(8253)の100%子会社で独立系投資信託会社、セゾン投信が10月15日付で日本郵政グループの日本郵便の資本参加を受け入れた。日本郵便はセゾン投信の株式40%を握る大株主となり、投信のPRなどに取り組むという。資本参加の背景について、セゾン投信の中野晴啓社長に聞いた。

 ――セゾン投信のメリットは何ですか。

「当社は金融機関を介さずにファンドを販売する直販方式が強みだ。販売手数料や運用管理費用を低く抑えられ、長期投資に的を絞った顧客本位の運用ができる。これまで何百回も全国各地で長期投資の必要性を訴えてきたが、限界を感じていた。日本郵便との提携で郵便局の顧客であるシニア層など新たな投資家を開拓する足がかりができた。郵便局を現役世代が集まる場所に変える一端を当社が担うだろうし、それが実現できれば当社のビジネスにも間違いなくプラスだ」

――日本郵便は8億円を出資するにもかかわらず、投信の窓口販売はせず、PRだけをするとしています。窓販してもらった方がよくありませんか。

「むしろ逆。特定の金融機関の商品ラインアップに並ぶのは当社の理念に反する。顧客最優先という言葉がむなしく響く金融業界にあって、当社は顧客本位が一番の価値だ。金融商品を粗製乱造したり、販売手数料をとることは一時的には成果を上げるかもしれないが、長期的には成長につながらない。日本郵便が販売したいという話であればお断りしていたと思う」

――日本郵便は出資のメリットが見えにくいとの指摘もあります。

「国内の人口が減る中、郵便局の形態そのものの将来性はかなり厳しい。新たな成長が見込まれる会社に出資先を求めていたのだろう。あくまで純投資だと思っている。日本郵便は新たな価値を注入して21世紀に必要とされる郵便局に変革しなければいけないという課題の中での決断だったはずだ。日本郵便にとって8億円は大金ではない」

――出資に至るそもそもの経緯は。

「日本郵便から2013年8月に当社の株を持ちたいと申し出があった。私自身はそんなことができる相手だと思っていなかったから最初は本気で取り合っていなかった。その後の資産査定(デューデリジェンス)の中で、日本郵便の幹部が当社の一般投資家向け長期投資セミナーや懇親会に何度も足を運ぶ姿を見て、熱意を感じて出資を受け入れた」

――親会社のクレディセゾンはかつて日本郵政グループとカード事業で蜜月関係にありました。今回の提携で関係を復活させようとの狙いがあるのではないですか。

「私はクレディセゾンの本意を確認する立場にはない。想像するしかないが、クレディセゾンとしては日本郵便と大きなつながりができることはいいことだろう。それ以上のことは私は分からない」

――出資受け入れ後の経営体制は。

「増資完了後の10月15日に株主総会を開き、当社の経営陣が正式に決まった。私のほかに非常勤の取締役として日本郵便とクレディセゾンからそれぞれ2人が加わり、5人体制で新たなスタートを切った。今後、実務者レベルのプロジェクトを立ち上げ、提携の具体的な中身を詰める。全国の郵便局での店頭広告のほか、各都道府県の中央郵便局がある中核都市で長期投資セミナーを開きたい。最初は当社から講師を派遣するが、将来的には郵便局の講師が出てきてもいい」

――役員受け入れで経営が変質する可能性はありませんか。

「今後の事業方針について協定書を締結し、基本的には全経営責任者である私に一任された。日本郵便は当社のビジネスを100%評価していると思うので、それほど支障にならないとみている。たとえば今後、日本郵便の持ち株比率が増えてクレディセゾンと逆転することがあっても、ビジネスが大きく変わることは想定していない」

――日本郵便が将来、株式の保有比率を引き上げる事態もありうると。

「現在の株主が未来永劫(えいごう)そのままなのかというのは当然ながら誰にも分からないことだ。ただ、今現在においてはその可能性は想定しておらず、経営理念も変えるつもりはない。セゾン投信の規模と顧客数、これが一番の防衛策になると思っている。世の中を味方につけることが大事だ。日本郵便もクレディセゾンもこれを覆すようなことをやれば、彼らの評判を損なう」

【セゾン投信】
 直販投信会社として2006年に設立。同社が販売する2本のファンドの純資産額は900億円を超え、7万3000口座の7割以上が40歳代以下の一般投資家。15年3月期に初の通期黒字を見通す。積み立てによる長期投資の重要性を説く中野晴啓社長は「積立王子」の異名を取る。

〔日経QUICKニュース(NQN) 聞き手は末藤加恵〕

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