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豊島逸夫の金のつぶやき

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ジャクソンホール後の円高進行リスク

2019/8/21 8:27
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マーケットが今週、米カンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)に注目せざるを得ないのは、すでに市場が先走りして9月利下げを95%以上の確率で織り込んでしまったからだ。

7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文には、「適宜に行動する」という利下げを示唆する米連邦準備理事会(FRB)用語が予想通り盛り込まれた。

ところが、その後の記者会見では「(今回の利下げは)中盤の政策調整」「長期的利下げサイクルの始まりではない」と語り、市場は当惑した。

その後、市場は、「長期的利下げサイクルの始まり」発言にはこだわらず、9月も「予防的」利下げが実行されると読んでいる。

このような市場環境で、ジャクソンホールを迎えるわけだ。

そこで、パウエルFRB議長が、講演で利下げに積極的なスタンスを確認すれば、市場のモヤモヤ感は解消されドル安・円高が進行するだろう。

いっぽう、利下げに慎重な発言をすれば、利下げをほぼ織り込んだ市場は混乱して株価は急落。安全資産としての円が買われることになる。

どちらに転んでも円高。

日本株市場の視点では、「適宜に行動する」という建前論だけを繰り返し、円高の進行は回避して終えてほしいところだ。

パウエル氏も実は四面楚歌(そか)で、ここは無難に切り抜けるが得策だろう。

利下げに慎重な姿勢で市場を混乱させれば「市場とのコミュニケーション」を問われる。トランプ氏のパウエル氏批判はさらに激しくエスカレートしよう。

利下げに積極的な発言をすれば、中央銀行の政治的独立性を確認する中央銀行会議で、トランプ大統領の利下げ圧力に屈したとの謗(そし)りを受けかねない。FOMC内部にもタカ派からの不協和音がある。前回のFOMCでは2人の反対者が出た。そもそも米国金融政策の方向性をFOMC以外の公式行事の場で語ることに疑義が示される可能性もある。

リスクは、パウエル氏が弁護士出身の実務家で、生粋の中央銀行家ではないこと。ゆえに中央銀行特有の「お作法」にいまだ慣れていない。元FRB幹部からは、表現が軽すぎるとの指摘を再三受けている。

例えば、「忍耐強く」判断すると型通りの表現のあとで、「当面は(for now)」という口語的つぶやきを加えたりする。

ワイオミング州の避暑地ジャクソンホールで、解放感からの余計な一言は避けてほしい。これが日本市場の切なる願いである。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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