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「タカちゃん」、米ETFで自作運用(投信ブロガー)

ブログ「アキバ系投信自作派」を運営する「タカちゃん」さんは、鉄道関係の仕事に携わる40代後半の独身男性会社員で、都内の賃貸住宅で母親と二人暮らしをしている。秋葉原のパソコン(PC)ショップで部品を購入してPCを自分で組み立てるのが趣味で、資産運用も自らのアイデアで指数連動型のインデックスファンドを組み合わせて行うのがモットー。ブログ名もそれにならって名付けた。米国上場の様々な上場投資信託(ETF)を日本の証券会社ではなく、米国のネット証券で購入しているのが特徴だ。「タカちゃん」さん自作のインデックス投資について聞いた。

優待株投資からインデックス投資に転向

――投資のきっかけを教えてください。

「株主優待で手に入る無料乗車券に魅力を感じ、日本株を20年前の1998年に買ったのが最初です。普段利用している『京成電鉄』の株式をるいとう(株式累積投資)の積み立て投資の仕組みで、月2万円ずつ買いました」

「他の日本株にも手を広げ、株主優待狙いを続けていましたが、思わぬ損失が膨らんでしまいました。企業側の都合による増資で株価が下落するなど、優待株投資ではもうからないと実感しました。日本株相場の長期低迷にも疑問を抱き、06年には日本株をほとんど手じまいしました」

――なぜインデックス投資に変えたのですか。

「投資仲間との情報交換や投資専門書を読み進めていくうちに、インデックス投資の妙味に気付きました。07年ごろのことです。とりわけ米国に上場しているETFの低コストが魅力的でした。ただ、当時は日本国内で購入できる米国上場ETFがあまりなかったので、米国に直接注文を出すことにしました」

「その後、09年に個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入したのをきっかけに、一般のインデックスファンドも購入するようになりました(表A)。ブログを始めたのはもっと後の13年12月です。始めようかどうかずっと迷っていたのですが、投資仲間から促されたのがきっかけです」

――米国上場ETFはどのように購入しているのですか。

「米国の大手ネット証券に口座を開いて購入しています。投資用の現金を毎月積み立てておき、ある程度たまった段階で海外送金して、ETFを買い付けています」

「米国には様々なタイプのETFが上場していて、運用コスト、売買手数料、為替交換の手間と費用、分配金にかかる税金やETFの市場価格と基準価格のかい離の大きさなど、メリットとデメリットをてんびんにかけ総合判断しても、米国でETFを直接購入するメリットは今なおあると思っています」

「ETFの分配金は米ドルのままためておき、まとまった金額で再投資に回しています」

――資産配分の考え方を教えてください。

「資産全体のポートフォリオを『コア』と『サテライト』に区分し、資金配分がおおむね半々になるようにしています。相場状況で配分比率が変わった場合には、ETFなどの追加の買い付けによってリバランス(配分調整)しています」

「コア・ポートフォリオは海外先進国株インデックスファンドと投資用の現預金などで構成し、サテライトには米国小型株、スウェーデンやデンマークの株式相場に連動するETFなど、高リターンを期待できそうな投資戦略を組み合わせながら選んでいます。投資の中心は米国を中心とする海外株です(図B)」

データ分析でETFの選定と配分を決定

――サテライトの投資戦略とは具体的にどんなものですか。

「現在注目しているのは、小型株全般のリターンが大型株よりも高い傾向や米国株のセクター(業種)投資、北欧株、日本の高配当株などです」

「セクターとしては、ディフェンシブ(下値抵抗)性の高い業種やバリュー(割安)株が好みなので、そうした特性を引き出してくれるような低コストのETFを選んで投資しています。具体的には生活必需品セクター(食品、たばこ、日用品など)とヘルスケアセクターのETFです」

「他のセクターでは、米国の航空宇宙産業や国防関連のETFにも一部、投資しています。国際的な地政学リスクや政変などに備えたリスクヘッジの役割を担っています。個別の米国株や高配当の日本株にも一部投資しています」

「資産全体の期待リターンを年率で5~6%として、ETFの連動指数の過去のパフォーマンスをデータ分析しながら、円換算ベースで価格変動リスクを最小にできるようにETFの選別や配分比率を自分なりに決めています」

――北欧株への投資は特徴的ですね。

「北欧のスウェーデンとデンマークの経済政策に興味を持っています。ともに高福祉国家であり、人間を幸せにする社会モデルの構築と経済成長を両立する国のあり方にひかれています。株式相場のパフォーマンスも高く、デンマークの株価指数は17年の1年間に円換算で約30%上昇しました」

――アクティブ(積極)運用ファンドにも投資しているのは。

「アクティブ型ファンドとして唯一、『ひふみ年金』と『ひふみプラス』を少し購入しています。『ひふみ』はグロース(成長)株投資に近い運用をしていると思っています。売却タイミングなどをプロが判断しながら、状況に応じて配分比率を大胆に変えるグロース株投資ならではの柔軟性を評価しています。私が好む長期の『バリュー』型運用とは違う難しい投資手法なので、その効果を試してみたいからです」

投資可能額が小さいので積み立て投資

――積み立て投資を利用していますか。

「iDeCoで2万3千円、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)は5千円、保険料の所得控除メリットがある積み立て型の生命保険に5千円、それぞれ毎月積み立てています。他に海外送金目的の投資用と生活防衛用に2万~5万円程度、毎月貯金しています」

――つみたてNISAを選んだ理由は何ですか。

「昨年までは一般NISAを利用していたのですが、年初からつみたてNISAに切り替えました。私のような会社員が給料から投資に回せる金額には限度があり少額なので、一般NISAでは非課税枠が使い切れませんでしたし、つみたてNISAは非課税期間が20年と長いのも魅力的です」

――資産額はどのくらいですか。

「運用資産額は投資用の現預金を含んで現在2千万円弱です。このうち元本がどのくらいかははっきり把握していないのですが、これまで20年間の投資でもうかっているのは確かです。この他に、生活防衛用の現預金の蓄えが生活費3年分あります」

ブログで「自作」の毎月分配型

――ブログで特徴的な部分を挙げてください。

「『キワモノシリーズ』と『分配シリーズ』と名付けたカテゴリーで、プログラミング言語を使って投資対象としているETFを組み合わせたデータ分析をしています」

「『キワモノシリーズ』では組み合わせた価格変動リスクが最小となる配分を試算。『分配シリーズ』では、米国上場ETFと『個人向け国債・変動10年』を組み合わせた毎月分配型ファンドなどを自作しています」

投資教育の重要性を痛感

――投資で成功したと感じていますか。

「インデックス投資にめぐりあい、まがりなりにも資産形成ができてきたことで、このままいけば、老後の生活資金に困ることはなさそうです。自分の周辺では、70歳近くになっても借金を抱えながら毎日の生活のために仕事をしているという人がいます」

「理由はそう単純ではないかもしれませんが、借金の金利の仕組みなど、お金に関わる十分な教育を受けてこなかったのが一因のように思えてなりません。自分の場合は高校卒業後に就職してから、たまたま優待株投資に興味を持ったことをきっかけに、金融や投資理論を独学で勉強してきました」

「それでも、早い段階から学校教育の中で、お金を巡るメリットやデメリット、株式をはじめとする金融商品の仕組みなど、基本的なことがらを丁寧に教わりたかったというのが本音です。こうした投資教育の効果が表れるには時間がかかると思いますが、自己責任で資産運用を始めるうえでの土台になるはずです」

――投資初心者へのアドバイスをお願いします。

「投資関連の本を読むのが役立ちます。私も厚めの専門書から、分かりやすい入門書まで様々な本を読んで独学で勉強しました。投信ブロガーによる本は実体験に基づいているだけに、特に参考になると思います。そして、少額のインデックス投資、ほったらかしの長期積み立て投資に一歩、踏み出してみることです」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は大沢崇、高瀬浩)

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