2019年4月19日(金)

ソニー、最新スマホ「静かなお披露目」にみる反省

2015/4/20付
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ソニースマートフォン(スマホ)子会社、ソニーモバイルコミュニケーションズ(東京・港)が20日、最新スマホを発表した。同社は前期に1800億円の減損損失を計上し、今期も人員削減など構造改革の最中にある。事業の立て直しを託された十時裕樹社長が昨年11月に就任して以来初の旗艦機種発表ということもあり、内容への注目は高かったが、そのお披露目は先代機種に比べ静かな内容だった。その背景にはこれまでの路線に対するソニーの反省が見え隠れする。

ソニーモバイルコミュニケーションズが発表した「エクスペリアZ4」(20日、東京都港区)

ソニーモバイルコミュニケーションズが発表した「エクスペリアZ4」(20日、東京都港区)

「1つのカメラスマホの完成形だ」――。東京都港区内にあるソニーの本社ビルで開かれた最新スマホ「エクスペリア Z4」の発表会で、ソニーモバイルの田嶋知一シニアバイスプレジデントは胸を張った。Z4にはソニーグループの最新機能を注ぎ込んでいる。特に本体のパネルディスプレー側で「自分撮り」に使うフロントカメラの画素数を約510万画素と、従来機種「Z3」の1.6倍に高めるなど撮影機能を強化した。処理能力を高めたCPUの搭載や、無線通信ブルートゥースの速度を大きく改善する独自技術「LDAC(エルダック)」の採用など、米グーグルのスマホ用基本ソフト(OS)「アンドロイド」の最新バージョンに対応した高性能が売りだ。

性能を見る限り「Z4」は韓国のサムスンや台湾HTCの最新機種と比較しても見劣りしないといえそうだ。ところが、今回の発表はこれまでに比べ静かなものだ。先代の「Z3」は昨年9月、欧州最大の家電見本市「IFA2014」でのお披露目だった。国際見本市のような場で注目を集めれば販促の効果は大きいはずだが、あえて地味なスタートを切ったところにソニーのスマホ部門の苦しさが浮かぶ。

十時社長は記者会見で「日本市場は、市場シェアや収益性で最も重要な市場」と語った。ソニーが2月に発表した中期経営計画で、スマホ部門は「事業変動リスクコントロール」の領域に位置づけられ、成長よりもリスク限定が課題になっている。販売を追うあまりに利益率が悪化し、赤字体質となった過去の反省から、20%台のシェアを握る日本市場で着実に売り上げる道を選んだといえそうだ。海外展開について十時社長は「一部海外での販売を検討している」とするにとどめ、激しい販売競争への参入には慎重な姿勢を見せた。

こうしたソニーのスマホ事業に対して市場では「すでにソニーのコア(核)となる事業ではない」(SMBC日興証券株式調査部の神近広二アナリスト)との見方も少なくはない。問題は実際の発売後の話題性になりそうだ。Z4の発売は今年夏、価格帯としては「100ドルから1400ドルまで幅広いスマホの価格帯の中間より高い価格帯」を見込む。普及価格帯での価格競争が激化する中、高付加価値路線を維持できれば利益の確保に一歩近づくことになる。また、ソニー本体が注力する画像センサーについても広告塔の役割が期待できる。そのためにはアプリも含めたカメラの活用法の提案なども必要になる。

ソニー銀行の設立など新規事業に関わる豊富な経験と実行力に定評がある十時社長のもとで、スマホ部門の守勢がいつまで続くのか。Z4の評価次第ではソニーの株価にとって新たな材料になる可能性もある。〔日経QUICKニュース(NQN) 後藤宏光〕

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