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大統領選直前のコロナ第2波、市場は「青い波」に警戒

2020/10/19 12:49
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冬場に向けての新型コロナウイルス感染「第2波」は、かねて金融・資本市場では波乱要因として意識されてきた。しかし、欧米における感染者急増のタイミングが米大統領選の2週間前というシナリオまでは、投資家は織り込んでいなかった。海千山千のヘッジファンドのツワモノたちも、今回ばかりは待ちの姿勢に徹する。これまでの米ハイテク株の急騰で一定のリターンはすでに確保している。ここであえてリスクを冒しても、それに見合ったリターンは期待薄のためだ。

劣勢で焦るトランプ大統領の言動は、投資家も「常軌を逸している」と受け止めている。「感染した人たちの85%はマスクをしていた」と根拠が極めて疑わしい数字を引用するなど、コロナ対応の失策から議論をそらす意図が露骨に透ける。共和党内での造反も顕在化してきた。ベン・サス上院議員(ネブラスカ州)は、コロナ対策の失敗が、民主党による大統領・議会選圧勝という「ブルー・ウエーブ」を招くと非難を強めている。

クリス・クリスティー前ニュージャージー州知事(共和党)はコロナ感染で陽性となり、1週間ほど集中治療室入った。回復した現在、「マスクしていなかったのを反省している」と告白した。大統領の側近として、クラスターを招いたとされるホワイトハウス内のイベントで第三列に座っていたのが報道写真で確認されている。「第三列まではウイルス検査済」と事前に告げられたとのことだが、本人も検査を受けていなかった。

トランプ大統領は、このイベント前に検査を受けたのかどうかについて、バイデン氏と同時刻開催の対話集会で司会者から聞かれた。答えは「検査したかもしれない、しなかったかもしれない」だった。さらに突っ込まれると「大統領はホワイトハウスの一室にこもっていては務まらない」と声を荒らげ、話題をそらした。

バイデン氏による「同時刻集会」での発言にも市場はざわめいた。

「トランプ氏はウイルスの実態を明らかにせず、楽観論ばかり述べてきた。実態を語ると株価が急落するからだ。彼は株価ばかりを気にしている」

マーケットは、本音では次期大統領にも株価への配慮も怠ってほしくない。バイデン氏は、かねて「株価」や「マーケット」から距離を置く姿勢を表明してきた。だが、こうも明確に示されると投資家も複雑な気持ちになる。

そもそも、法人税や株式売買益への課税強化の方針は「バイデン増税」として市場でリスク視されてきた。バイデン氏が主張するインフラ投資額が共和党案より大きい。このため増税のマイナスは相殺されるとの読みが高まっていただけに、バイデン氏がウォール街を敵視する民主党内左派へ配慮をみせたのは身構えざるを得ない。

特に、商品市場のトレーダーたちはハラハラしている。大手投資銀行の自己勘定による原油売買を規制するドッドフランク法(金融改革法)はトランプ政権下で緩和されてきた。解雇されたトレーダーの再雇用などの例もみられている。しかし、バイデン政権となれば、再び締め付けが厳しくなりそうだ。

投資家にとって現在の最大の関心事は、追加財政支援案の行方だ。一時は凍結を指示したトランプ氏だが、感染第2波による経済復興の遅れを意識して総論賛成に転じた。総額2.2兆ドルの民主党案に対し、共和党は1.8兆ドルまで歩み寄った。ペロシ下院議長は週末、「48時間以内に合意の可能性」を示唆した。

しかし、交渉相手のムニューシン財務長官との溝はまだ深い。金融市場には年内合意を諦めるムードも漂い、16日の米株式市場は取引終了間際に週末のポジション調整とみられる売りが出て、ダウ工業株30種平均は上げ幅を急速に縮小した。

大統領選の郵便投票の不備も出始めている。有効性が問われて確定までに時間がかかるリスクシナリオも、多少なりとも現実味を帯びれば投資家が最も嫌う「不透明感」を強める。株式オプション価格をもとに算出する変動率指数で「恐怖指数」とよばれる「VIX」は27台にあり、危機的水準とされる30目前で高止まり気味だ。

ウォール街は、コロナ感染者の増加州が大統領選の激戦州と重なる傾向があることにも注目している。ノースカロライナ州などだ。同州でのバイデン候補のリードを3%台とする世論調査結果もある。今週もマーケットは神経質な展開を続けるだろう。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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