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地銀・信金「リーマン・ショック前の信用状況なら3割が引当不足」 日銀リポート

日銀は19日、「地域金融機関における最近の貸倒引当金の算定状況」と題したリポートを公表した。景気回復で借り手のデフォルト(債務不履行)が減少傾向にあり、将来の損失発生に備えた引当率も低下している。リポートでは「リーマン・ショック前数年間の平均的な信用コストが発生したと仮定すると、コア業務純益でカバーできない先が地域銀行、信用金庫ともに3割程度に達する」と指摘。さらなる引当方法見直しなどの余地があると示唆した。

リポートは金融政策の判断材料にもなる年2回公表の「金融システムリポート」の別冊として公表した。別冊では特定のテーマや課題を掘り下げることで、金融システムリポートを補完する狙いがある。今回の公表は5月、7月に続き3回目となる。

金融機関は、金融庁金融検査マニュアルに例示した手法を基に貸倒引当金を算出しているが、将来に対する備えとしてマニュアルよりも算定期間を長くしたり、対象企業の与信額を引き下げたりする工夫をしている。14年度に引当金の算出方法を工夫した金融機関は地銀で9割弱、信金で7割あまりに達している。

信用リスクを厳しく見積もる動きは広がるが、将来の損失に備えた引当金の計上額は減少基調だ。2014年度の貸出残高に占める貸倒引当金の比率(引当率)は地域銀行で0.8%と過去10年間の平均である1.3%から0.5ポイント低下、信金も1.4%と過去10年平均(1.8%)に比べ0.4ポイント低下した。貸出先の業績や財務内容の改善に加え、デフォルト率の低下により歴史的な低水準になっている。

地域の人口減少や企業の大都市圏への集積に伴い、地域金融機関の収益力は低下基調にある。信用コストがコア業務純益と一致する信用コスト率である「損益分岐点信用コスト率」は低下基調にあり、実際の損失を貸出残高で除した「信用コスト率」がリーマン・ショック前の平均である0.40%程度まで上昇した場合は、地銀で27.6%、信金で34.9%がコア業務純益で信用コストをカバーできなくなる。

政府が推進する地方再生に歩調を合わせ、地域金融機関も地域の産業力強化や地方創生に取り組んでいる。収益力を強化する目的もあり、これまでになかった貸出先など新たな信用リスクを抱え込む可能性は高い。日銀は「引当金は不十分ではないが、将来に備えるためよりきめ細かな対応が必要」(金融機構局)と指摘している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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