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サウジ地政学リスク、どうなる次の一手

2019/9/17 8:38
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突然発生したサウジアラビアの地政学リスクに対するマーケットの反応は、原油を除いて限定的だった。このところの相場変動の起点になってきた債券市場では、安全資産とされる米国債が買われた。しかし、長期金利の指標である10年債利回りは1.84%を挟む動きで、一時は1.42%台まで低下していたのを考えると、かなり高い水準を維持した。金利が上昇反転する傾向が強まった環境にあって、地政学リスクからの影響も抑制された。

円相場は1ドル=107円70銭台まで円高が進行したものの、結局は108円台に戻した。米ダウ工業株30種平均の下げ幅は142ドルにとどまった。金は1トロイオンス1500ドル台の大台を回復したが、1550ドルの上昇の勢いに欠ける。「株売り、債券買い、ドル買い、円買い、金買い」のポジションを巻き戻す傾向にあるなかで、新たに浮上した地政学的展開を見極めている。

市場参加者の関心はサウジによる報復、米国の介入の可能性に向かっている。

トランプ米大統領はイラン接近の姿勢をみせ始め、イラン・ロウハニ大統領とニューヨーク国連総会をきっかけに会談する可能性も出ていた。対イラン強硬派のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)も解任された。かくして後任の安全保障担当の補佐官不在の状況で、サウジの原油処理施設が攻撃を受けた。

トランプ氏は、大統領選を視野に入れて原油価格急騰は回避したいところだ。サウジの施設攻撃後も「原油価格の上昇は5ドルほどで、それほど上がっていない」と強調してみせる。さらに世論はこの時期に新たな戦争を望んでいない。記者会見でも「今や米国は世界最大の原油生産国」と余裕をみせ、当面は行動を急がないと語っている。

米共和党内では、イランへの攻撃について、実施するにしても爆弾・弾薬を使わない「非キネティック手段」、すなわちネットシステムへの攻撃や敵兵士への心理作戦にとどめるべきとの意見も根強い。

トランプ氏も決断しかねているようだ。記者会見では「(強硬姿勢の)準備はしている」と語るが、ポンぺオ米国務長官を現地に派遣して、サウジと外交的解決の糸口を探る姿勢だ。娘婿のクシュナー大統領上級顧問とムハンマド皇太子はソーシャルメディアネットワークでチャットする仲でもある。なお、ポンぺオ氏は実行犯がイエメンではなくイランとほぼ断定的に述べている。

サウジアラビアも、対イラン報復措置をエスカレートさせれば、次に狙われる標的は同国水資源の生命線である淡水化プラントになる可能性がある。水不足などが国民生活を直撃して社会不安を醸成するシナリオは歴代の国王が伝統的に避けてきたところだ。

イランも経済制裁のダメージにより経済的に追い詰められている。最悪の事態回避では利害が一致する。

とはいえ中東には事態の悪化を望む組織も存在する。たとえばイラン国内強硬派のイラン革命防衛隊で、イラク国内でイランの支援を受けた過激派(PMF)もいる。イラク政府も黙認とされる。すでにイスラエルが攻撃を仕掛けている。そしてイエメンの親イラン武装勢力フーシ。彼らは「これで終わりではない」と示唆している。

今回の攻撃に使われたのが果たしてUAV(武装した無人機)なのか、巡航ミサイルなのか、との議論もある。サウジの原油処理施設まで700キロほどとされる射的距離でターゲットを正確に爆破した。メディアでは、空中写真で爆破された主要施設と複数の黒煙の一致が報道されている。

UAVの射程距離は100キロほど。長距離攻撃能力や高精度のターゲット爆破の観点から巡航ミサイルの可能性が指摘される。

市場参加者は米中貿易協議への影響にも注目している。

中国は原油の最大消費国で、中東産原油への依存度が高い。イランは中国の「一帯一路」での要衝でもある。これに対し、米国はすでに世界最大級の産油国となり、中東産原油への依存度が低い。この力関係のシフトは、米中の通商協議でトランプ側の新たな交渉カードとなろう。

今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。利下げ幅が0.5%になるシナリオも議論されるが、現状は0.25%利下げの予想が大勢だ。ただし、突発的な急変があれば、FOMCも無視できまい。

トランプ大統領は「臨戦態勢」とツイートしたが、マーケットも突然の急展開に24時間体制で身構えている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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