5月の訪日外国人、前年比50%増の164万人 沸き立つ内需企業

2015/6/17付
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日本政府観光局(JNTO)が17日発表した5月の訪日外国人数(推計値)は前年同月比50%増の164万人となり、5月として過去最高を更新した。円安と個人観光ビザ(査証)の発給要件の緩和により、中国やタイなどアジアを中心に、日本を訪れる外国人が大幅に増えている。訪日外国人がもたらすマネーを取り込もうと、内需企業の競争も激しくなってきた。

5月の訪日外国人数は164万人と5年前と比較して2倍超になった。地域別に見ると、中国が38万7200人で前年同月比2.3倍と最も多い。21%増の台湾、62%増の韓国が続く。インドも15%増の1万1300人と単月として初めて1万人を超えた。

訪日外国人の急増は内需企業を潤している。中古ブランド品販売の「大黒屋」を運営するアジアグロースキャピタルの小川浩平社長は「宝石をちりばめた1000万円台の高級バッグも入荷してはすぐに売り切れる」と笑顔を見せる。

中国人の「爆買い」を追い風に百貨店大手5社の5月の売上高(既存店ベース、速報値)は前年同月と比べ大幅な増収となった。三越伊勢丹は12%増で、中でも三越銀座店は33.2%の増加。同店の売上高における免税品の割合は24.7%に達する。

訪日旅行のあっせんを手掛ける国内旅行会社では、富士山や京都巡りなどの代表的な旅行ツアーが好調なほか、リピーター向けの旅行ツアーが伸びている。

JTBでは、訪日向けパッケージツアーの7月の予約数(人数ベース、12日現在)は前年同月比で6割増加した。リピーターには日本文化を感じられる体験型のプログラムを含むツアーが人気だ。例えば、築地の場外市場でプロの板前にすし作りを習い、自分で握ったすしを昼食に食べるというもの。サミット開催で注目の集まる三重・伊勢で「海女さんと休憩小屋で海鮮を食べるなど地方ならではのプログラムも好評」(JTB広報)だという。

ガイドの付かない自由度の高いツアーも受けがいい。そば作りを体験したり、観覧席から伝統的な祭を見学したりする同社の「エクスペリエンスジャパン」の予約数は去年に比べ5倍超伸びている。

漫画の聖地を訪れるコアな日本ファンもいる。小田急電鉄グループの江ノ島電鉄「鎌倉高校前」駅の付近の踏切にはカメラを持った台湾人が集まる。日本でも有名なバスケット漫画「スラムダンク」のオープニングシーンの舞台が新たな観光地に育ちつつある。

日本企業によるアジア進出も、日本の親近感を高めているようだ。旅行業のエイチ・アイ・エスはファミリーマートと提携。訪日需要の強いタイでHISは現在20数拠点を構えるが、ファミリーMは1000以上の店舗を持つ。コンビニの店頭で旅行ツアーの紹介や提供ができれば顧客開拓が進むと期待する。

日本政府は2020年までに訪日外国人数2000万人、旅行消費額4兆円という目標を掲げている。観光庁の高橋一郎観光戦略課長は「実現可能な目標だ」と語る。15年1~3月の訪日外国人1人あたりの消費額は、前年同期比14%増の17万1028円と大きな伸びを見せた。旅行消費額全体も同64%増の7066億円で1~3月期として過去最高だ。

とはいえ、こうした熱気は現在のところ都市部が中心。今後訪日客に長く滞在し地方も周遊してもらうために、「地域でしかできないサービス、体験を作り上げてプロモーションも大切だ」(高橋課長)。東日本旅客鉄道(JR東日本)の冨田哲郎社長は「東北を訪れる訪日客は全体の2%程度だ。地方活性化をテーマに、全体の10%程度まで比率を上げたい」と話す。

節目となる20年の訪日外国人数の目標に向けて、「地方創生」がひとつのキーワードになりそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 三好理穂〕

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