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ヘッジファンドの日本株買い、最新動向

久しぶりにウォール街で「ジャパン」が話題になった。

15日のニューヨーク市場で下げ幅が190ドルまで広がっていたダウ工業株30種平均が、自動車追加関税の発動延期報道をきっかけに一気にプラス圏へ急反騰した後のことだ。

自動車追加関税といえば、当然ながら対象は欧州車と日本車との連想が働く。そこで、4月にニューヨークで会ったヘッジファンドの一部の担当者から日米貿易協議について見通しを聞きたいとのメールや電話があった。

大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議後を見据え、米中トップによる貿易交渉の妥結、あるいは協議長期化となれば、日本株買いの第二波を仕掛ける意図が感じられる。

「あなたの夏休みの都合は?場合によっては7月にご足労いただくことになるかもしれないのだが」。日本株への投資の本気度が伝わってくる問い合わせだ。

本欄4月4日付「2万円割れ待つヘッジファンド」と、4月26日付「ニューヨークでみた日本株を巡る日米温度差」で、筆者がニューヨークでの日本株レクチャーに出向き、その直後から外国人投資家の買いが始まったことを紹介した。直近の売買統計では、海外投資家による日本株買い越しが4週連続となっている。

今やどこの国でもリスクだらけの株式市場である。そこで、相対的にリスクの低い株に関心が向く。自動車追加関税の発動延期によりリスクが多少なりとも軽減されれば、日本株が見直される。

「そろそろデリバー(deliver)せねば」。和訳すれば「結果を出さねば」という言葉に、米中貿易戦争で視界不良の市場で結果を出せないヘッジファンドの焦りがヒシヒシ伝わってくる。

キャッシュ・ポジションを膨らませた逃避モードではヘッジファンドは顧客からの解約が相次ぐばかり、との危機感が強い。分散運用の視点でも、日本株のリスクが欧米株や新興国株とは異なる部分がある。一定のリスク分散効果が期待できる。

筆者のヘッジファンドとのネットワークは、出身銀行のスイス銀行つながりだ。それゆえ、在ニューヨークといっても欧州系のファンドも含まれる。欧州系の背後には中東マネーが見え隠れする。中東系政府系ファンドに「身売り」した仲間もいる。家族には中東暮らしを拒否されても、単身で3年間「出稼ぎ」すれば、一生暮らせるほど稼げる。高給といわれるウォール街の基準と比べても、驚くほどの報酬が得られるのだ。

一方、短期売買に徹するファンドからは、日経平均株価が2万円割れとなる可能性を問われる。総じてグローバルマクロ系が多いのだが、ヘッジファンドといっても多様化している。日本株への視点は様々だ。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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