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豊島逸夫の金のつぶやき

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米中部分合意、文書化・履行検証で難航か

2019/10/15 9:23
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11日に米中部分合意を歓迎して319ドル急騰した米ニューヨーク(NY)株価だが、週明け14日は、先走りとの反省感が市場を支配した。

まず今回は「交渉3段階の1段階」。これまでの交渉で歩み寄ってきた部分を集め合意内容として、これから副閣僚級・閣僚級の交渉で文書化される。合意寸前までこぎつけたが、共産党の反対で米国側作成の合意文書が土壇場で反故(ほご)になった前例の記憶が市場には鮮明に残る。11月にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場で両国首脳が部分合意文書に署名して、両国内向けに成果として誇示する目論見も実現は危うい。

米国側は、10月15日に発動予定であった追加関税は撤回の姿勢だが、12月15日発動予定の消費財を含む追加関税は切り札として温存した。

合意内容の検証については、ムニューシン財務長官が「両国にかなりの規模の紛争仲裁機関を創設」と述べている。しかし、中国側は内政干渉として拒否反応を示しそうだ。「仏作って魂いれず」のリスクが残る。

米中で今回の部分合意に関する反応の違いも鮮明だ。

中国側からは、総じて「進捗を歓迎」と抑えた表現が目立つ。大統領選挙を視野に焦るトランプ陣営に対し、「待ち」の姿勢で臨む交渉戦略は変わらないようだ。共産党強硬派から弱腰の誹(そし)りを受けぬための配慮も透ける。

いっぽう、トランプ大統領も、400億~500億ドル相当の米農産物購入を「直ちに」と2回連呼して迫っている。ツイートのトーンも合意前の「とても暖かな雰囲気」から、かなりトーンダウンしたけん制的内容に変わってきた。

知的財産権保護問題や中国市場開放という構造問題の中では相対的に部分的妥協が可能な項目についても、いざ各論の詳細となると、具体性が見えない。

とはいえ、米中通商摩擦のエスカレートという最悪の事態は回避できた。

市場は、そもそも高望みはしていない。10月15日発動予定の追加関税撤回だけでも、御の字という評価は変わらない。

今後のワイルドカードとしては、香港問題が要注意だ。

米3連休明けの米国議会本会議で、「香港人権・民主主義法案」が全会一致で可決される見通しである。香港は中国の一部であるが、中国とは分離された法的、経済的制度を有することを認める。拘束や弾圧の責任者の米国入国禁止などの制裁を科すなどの決定が中国側の強い反発を招くは必至だ。

米中貿易部分合意の基盤がもろいだけに、香港問題の影響が飛び火する可能性もある。

市場は、「第1段階」の各論文書化、「第2段階」の交渉開始をにらみ、警戒感を解けず、今後の展開を注視している。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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