7/12 13:00更新 マーケット 記事ランキング

最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 22,290.81 -238.48
日経平均先物(円)
大取,20/09月 ※
22,290 -190

[PR]

投信コラム

フォローする

国内初の「投信併合」、メリットは?(投信観測所)

2020/4/22 12:00
保存
共有
印刷
その他

国内で初めて2つの公募株式投資信託を1つに統合する「投信併合」が、来月27日に実現する。個人投資家にとってもメリットはあるのだろうか。併合の経緯や目的などについて、野村アセットマネジメントで第1号案件を担当するプロダクト・マネジメント二部の増田和昭経営役と佐野一星部長に詳しく話を聞いた。

Q:第1号案件に至るまでの経緯は。

A:制度上は2007年に投信を併合できるようになった。しかし、当初は対象ファンドが限られ、手続きなどが煩雑で実現せず、運用規模が小さいファンドを整理する場合は繰り上げ償還しか現実的な選択肢がなかった。繰り上げ償還をすると投信残高が減ってしまうし、かといって小規模なファンドを多く残したままだと運用効率が上がりにくい。こうした課題を投信業界と当局が共有するなかで、12年ごろから金融庁のワーキング・グループで投信併合の促進も取り上げられ、業界全体でも議論を重ねてきた。14年に改正投信法が施行され、円滑に手続きが進められる下地が整った。

Q:そこから5年以上が経過しました。

A:投信併合の実現に向けて機運が高まったのは、16年の秋ごろから。金融庁が発表した金融レポートで、国内に小規模なファンドが多い点を「家計にとっては長期的な資産形成を行うために最適な環境にあるとは言えないものと考えられる」と指摘したことがきっかけになった(図表参照)。そこから業界全体で知恵を出し合い、試行錯誤しながら慎重に準備を進めてきた。最終的にシステム面でも親和性の高い野村証券、野村信託銀行、野村アセットマネジメントの野村グループで併合に向けてチャレンジすることとなった。

Q:投信併合のメリットは。

A:まず、投資家にとっては運用が続けられる点。長期の資産形成を目指す場合、投資先のファンドが繰り上げ償還されたらそこで途切れてしまうが、違うファンドに統合されれば運用が継続できる。特に少額投資非課税制度(NISA)などを利用しているケースでは、運用中断を回避することで非課税メリットを期間いっぱいまで受けられる。投信併合が信託報酬などの低下につながれば、コスト面でも投資家に恩恵がある。

運用会社にとっては、投信をまとめることで管理の手間やコストを削減し、パフォーマンス向上にリソースを集約しやすくなる。浮いたコストで信託報酬などを引き下げれば、長期で安定した資金流入も期待できる。また、販売会社にとってはファンドの償還による資金流出を食い止められることと、商品ラインアップを整理できる点が挙げられる。同じような運用をするファンドが少なくなれば、販売員の負担を軽減できる。

Q:どんなファンドが併合の対象になりますか。

A:「投資家の不利益にならないこと」が大前提にある。併合対象ファンドの主な基準をまとめると、(1)07年9月末以降に設定され、(2)運用方針が同様で、(3)併合前後で商品の基本的な性格が変わらず、(4)存続する投信の純資産総額が併合される側の5倍以上であること(同一の指数に連動する投信同士は例外)――などが挙げられる。

Q:第1号案件を手掛けて課題に感じていることは。

A:投信の事務手続きはきっちりと厳格なルールが決まっていて、そこに併合の手続きをどうやって組み込むかが一番の課題だ。何もかもが初めてで前例がないため、ひとつずつ確認しながら手探りで進めている。例えば「受益権口数の端数処理をどうするか」や「具体的な投資家への開示の対応は」などひとつひとつクリアにしていく必要がある。ごくごく地道な作業だが、後に続く併合案件が円滑に取り組めるように明確で簡潔な方法を見つけて示していきたいと思っている。

Q:次の併合案件の予定は。

A:現時点で予定はない。まずは来月の第1号案件を確実に終え、併合に関する手続きをしっかりと整備してから次の候補を探していきたい。初の投信併合をやり遂げて分かった課題や成果などを取りまとめ、手続きのノウハウやルールを浸透させていくのが私たちの役割だと思っている。当局や業界全体で認識を共有し、何年か先には当たり前のように投信併合が行われるよう、業界発展のために模範になるケースをつくりたい。

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

投信コラムをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム