佐藤日銀委員、円安「米金融政策への期待と整合的」 甲府市内で会見
日銀の佐藤健裕審議委員は10日午後、甲府市内の金融経済懇談会後の記者会見で一時1ドル=125円台に下落した円相場について「米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に対する期待と整合的な動き」との認識を示した。10日の東京市場では黒田東彦総裁が衆院で、米国以外の主要貿易相手国も対象に物価変動による競争力変化も考慮した実質実効為替レートについて「さらに円安に振れることはありそうにない」と述べたのをきっかけに円買い・ドル売りが膨らんだが、佐藤氏は「出張中の身で衆院の質問内容は熟知していない」と言及を避けた。
そのうえで、円安の進行は「先行きの日米の金利差拡大を織り込む動き」と指摘、「5月の米雇用統計をきっかけにFRBの利上げのタイミングが若干前倒しになるとの観測が広がった」との見方を示した。「為替の水準やスピード、日々の動きについて具体的にコメントすることは差し控えたい」としたうえで、一般論として質問に答えた。
円安の効果や悪影響については「輸出の増加や世界的に展開する企業の収益拡大につながる」とする一方、「輸入物価の上昇を通じて中小企業や家計にとって押し下げに作用する」と指摘。「影響は経済主体によって異なる」としたうえで、「安定的に推移することが望ましい」との認識を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕