/

米欧通商摩擦 市場はこうみる

トランプ米大統領が9日、欧州連合(EU)が航空機大手のエアバスに支給する補助金が不当だとして「110億ドル(約1兆2000億円)分のEU製品に関税を課すつもりだ」と表明した。EU側も対抗措置を検討していると明らかにした。市場が米中の貿易交渉の進展を期待するなか、今度は米欧間で新たな通商摩擦の懸念が浮上した。国内の株式・為替市場への影響をどうみるか、市場関係者に聞いた。

【株式】

「対日交渉への強硬姿勢連想で警戒 2万1500円が下値めどか」

石黒英之・大和証券シニアストラテジスト

10日の東京株式市場で日経平均株価は反落しそうだ。欧米間の新たな通商摩擦問題は日本株にとってはネガティブな材料だ。来週に日米の物品貿易協定(TAG)交渉の初会合を控える中、米国側が強硬な姿勢に出るとの連想を招きやすいためだ。国際通貨基金(IMF)が9日に発表した世界経済見通しで成長率予測を3.3%に引き下げたことなどを背景に同日の米国株相場が下落していることも、日本株への下押し材料となる。

IMFの下方修正は予想されていた内容ではあるが、米国など海外では株価が高値圏にあり、利益確定売りの口実となりやすかった。日経平均でみると、年初からチャート上の25日移動平均が下値支持線として機能してきた場面も多く、10日も同平均が位置する2万1500円前後が下値のめどとなるとみている。

日米のTAGに関して言えば、本格交渉は米中間の交渉の決着後になると想定され、今回はさや当て的な側面が強いとみている。警戒感から日本株が大きく水準を切り下げる展開になるとは考えていない。

「関税対象額小さく影響限定 10連休前の買い意欲減退に注意」

香川睦・楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジスト

米国と欧州の新たな貿易摩擦が表面化した。米中の通商交渉が合意に近づいているとされる中で、今回の米欧の関税の対象額は米中間のものと比べて小さく、株式相場への影響は限定的だろう。

ただ、日本の自動車や機械株にとって重荷となりそうだ。これから本格化する日米の物品貿易協定(TAG)交渉で、米国が強硬な姿勢を示すのではないかという不安をあおるからだ。

きょうの相場では、10連休を控え投資家の買い意欲が減退しているとみられることに要注意だ。10日の東京株式市場で日経平均株価は、海外ヘッジファンドなどの株価指数先物の売りが相場を下押しし、2万1600円程度が下値のメドになるとみている。

【為替】

「円、上値重い FOMC議事要旨により注目」

古草鉄也・ヒロセ通商取締役

トランプ米政権が欧州連合(EU)からの輸入品に関税を課す方針を示したのをきっかけに、前日9日の米国市場では株安・円高となった。これはリスク回避の積極的な円買いというより、米欧の通貨と比べれば今回の問題に関係が薄い円を消去法で買いやすかった面が大きい。9日のニューヨーク外国為替市場で1ドル=110円台での滞空時間が短かったのと同様に、東京市場でも10日は110円台で持続的に水準を切り上げていく可能性は低いとみている。

円買い・ドル売りを誘う要因はむしろ、米連邦準備理事会(FRB)が10日に公表する3月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨とその前に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)だ。議事要旨はFOMC参加者の(利上げに消極的な)ハト派転換が目立つ公算が大きく、ドル売りで反応しておかしくない。

最近の米経済指標は市場予想を上回った場合のドル買いより、下回った場合のドル売りがより顕著だ。10日の東京市場で円相場は次の方向感を探る展開となり、1ドル=110円80銭~111円30銭程度で推移すると予想している。

〔日経QUICKニュース(NQN)三好理穂、北原佑樹、森田理恵〕

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン