「今の物価上昇に持続性ある」東大・渡辺氏 物価セミナーで

2015/11/9 17:04
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日本経済新聞と同社が出資するナウキャストは9日、「物価から見た日本経済」と題するセミナーを都内で開いた。

スーパーのPOS(販売時点情報管理)データなどを活用した速報性の高い物価指数である「日経・東大日次物価指数指数」を開発した渡辺努・東京大学大学院教授は、現状の物価動向について分析した。東大指数は今年の4月以降上昇幅を広げ、足元は前年比プラス1.5%を超えている。渡辺教授は上昇トレンドが始まった最初の頃は、上位10%の品目の急上昇が全体をけん引していることから、物価上昇の持続性に疑問を持っていたという。ただ初夏以降は他の品目も上昇が始まったことから「物価上昇に持続性があるとの見方に変わってきた」と話した。

最近は物価上昇の影響で消費が低迷しているとの声が増えている。これについて、店ごとの価格と売り上げを比較したところ、物価上昇と売り上げ増が両立している店舗の数は売り上げが減少している店より2.5倍だった。このため渡辺教授は「消費が落ちているのは別の要因ではないか」と話した。また今後2%の物価上昇が本格的に実現するためには、東大指数でカバーしていないサービス分野の物価上昇が必要だと指摘した。

ナウキャストで指数の計算の責任者を務める今井聡CTO(最高技術責任者)は、新たに開発した物価指数である「S指数」について解説した。S指数はPOSデータなどを使い、総務省が店舗での聞き取り調査をまとめて作っている消費者物価指数(CPI)に近い数値を、CPIよりも約1カ月早く算出するもの。東大指数とは違い、CPIの予測をすることを目的に専用に開発したものだ。

CPIの規定に当てはまる品目や調査日を使い、購入シェアを基準年に固定する「ラスパイレス指数」を用いて算出する。またCPIと同様に分量だけを減らした実質値上げなども反映するようにした。

これに加えて、家賃やインターネット上で集める交通費、通信費などを合わせることでCPIの品目の半分程度をカバーする計画。同社は会員を募り、来年1月にS指数のデータ販売を始める方針だという。

同セミナーでは日銀の関根敏隆調査統計局長も、金融政策運営における経済統計の重要性について講演した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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