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青井ノボルさん、身の丈投資で縦走(投信ブロガー)

「青井ノボル」さんは、30代前半の男性会社員で中小企業への経営アドバイスを仕事にし、専業主婦の妻と子供3人の家族5人で首都圏の分譲マンションで暮らしている(住宅ローンあり)。今年の2月に積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」を活用した指数連動型のインデックス投資を始めたばかりだが、ほぼ同時に立ち上げたブログ「インデックス投資で長期縦走へ」での精力的な発信に、一目を置くブロガーも少なくないようだ。

平均点狙いのインデックス投資が自分の身の丈に合っているので、趣味の縦走登山のように仲間と一緒に続けたいという青井ノボルさんに、投資とブログに対する考え方を聞いた。

長期投資は登山の縦走そのもの

――ブログ名の長期縦走とはどういう意味ですか。

「高校時代から登山を15年以上続けています。妻も登山サークルで知り合った仲です。『縦走(じゅうそう)』とは、山に登っても下山せずにそのまま次の山を目指し尾根伝いに歩き続けることです。アップダウンを繰り返しながら登り続ける縦走を、山あり谷ありの長期投資になぞらえました」

「ハンドル名には、青空のもとですばらしい景色(投資成果)を眺めながら、一歩一歩踏みしめてコツコツ登ることができたら最高、という意味を込めています」

「登山のスタイルは色々あるのですが、テントや食料を担いで日本アルプスの稜線(りょうせん)を複数人で組んで歩くパーティー登山が私の好みです。インデックス投資も仲間と楽しみながら続けていくのが理想です」

「長期投資と登山は共通点が多いと感じています。リスク管理が重要なのはその一つです」

――リスク管理とは具体的にどんなことですか。

「登山は大けがや死に直面するリスクが高いので、自分の実力にあった登り方をマスターし、事故に遭った場合の対応を熟知したうえで、危ない場合は欲張らずに登山を中断する自制心が求められます」

「投資も基本的な考え方は同じです。バイ・アンド・ホールド(買い持ち)の長期投資では、リスクをどこまで取れるか、その許容範囲内で『続ける』ことが肝です。そのためには生活防衛資金をどれだけ備えておくか決めておくのが、地味ながらもとても大切だと思っています」

投資をいったん中止も「稲妻の輝き」の感触

――投資を始めたきっかけを教えてください。

「2007年4月に就職して給与口座を銀行に開設しました。独身寮に入居してお金に少しだけ余裕があったので、5月には全財産50万円のうち40万円を注ぎ込み、ファンド4本を10万円ずつ一括購入しました」

「銀行で販売手数料のキャッシュバックキャンペーンをしていたのにつられました。この時は『お金が増えればうれしいな』という安易な考えでした。そして、同じ年の9月と12月には、別のファンド2本を10万円ずつ追加購入しています」

「保有ファンド6本のうち、4本が新興国ファンド、しかも3本が株式に投資するタイプです。今から考えるとリスクの取り過ぎです」

「そこに起きたのがリーマン・ショックです。ファンドの価格が一気に下落し、09年1月には投資元本が3分の1まで減少。新興国株式のファンドは軒並み元本の2~3割程度に時価が落ち込んでしまいました」

「08年春には個別株も購入していたのですが、いずれも塩漬けになってしまいました。IPO(新規株式公開)にも手を出しましたが、運用が芳しくなかったり、抽選申し込みの手続きが面倒だったりして、長くは続きませんでした。その一方で、積み立て投資の効用を耳にしていたので08年後半からはファンド3本の毎月積み立て投資も始めていました」

「結局、13年9月、長男の誕生を機にファンドをすべて売却しました。市場環境が上向いていたのでファンド全体ではかろうじてプラスでしたが、その後、株式相場が急回復したので、収益を得る機会をみすみす逃してしまった格好です」

「ここでの教訓は『市場の予想は不可能』『感情に流されては冷静な判断ができない』ということです。一方で、今につながる成果もあります。5年間続けた積み立て投資はうまくいったので、『市場に居続けない限り、稲妻の輝きに似た上昇タイミングを捉えることはできない』という感触が残っていました」

市場平均に身を委ねる投資で十分

――投資を再開したのはなぜですか。

「12年に結婚して子供が生まれてからは、教育費をためることを最優先にして、無リスク資産(現金、預金や個人向け国債など)を積み上げていました。将来の生活プランがおおよそ固まってきた中で、今年3人目の子供の誕生をきっかけに、投資を再開しようと思い立ちました」

「ちょうど今年から『つみたてNISA』が始まったのも投資再開のきっかけになりました。積み立て投資の長期継続で『稲妻の輝き』をもう一度味わいたいと思いました。『iDeCo(個人型確定拠出年金)』での投資も開始しました」

「投資しているのはインデックスファンドです。以前の投資経験の失敗から、長期でほどほどの収益が得られればそれで十分と思い知ったからです。アクティブ(積極)運用の役割は重要だと考えていますが、著名インデックス投資ブロガーの方々が実践しているように、市場の変動をそのまま受け入れて、市場平均に身を委ねるのが自分の身の丈に合っています」

ブログの目的は投資の継続と動機付け

――ブログを始めたのにはどんな理由があるのですか。

「インデックス投資を実践し続けるためです。ブログを始めた大きな理由は2つあります。一つは、投資関連で学んだ知識や考え方を発信して長期投資の礎を築くこと、もう一つは、ブログを通じて個人投資家との交流を図りインデックス投資を続ける動機付けを持つことです」

「インデックス投資の基本は長期のバイ・アンド・ホールドですが、少なく見積もっても退職するまでの約30年間は、孤独な投資が続きます。登山と同じように、仲間と一緒に雑談しながら辛い登りを乗り越えて、一緒に進んでいく感覚を保つことができれば、投資を続けるモチベーションになるはずです」

全世界株式の時価総額比率がしっくり

――投資対象の資産配分を教えてください。

「投資対象は株式のみです。そのうえで、世界全体の株式市場の平均をそのまま受け入れるという選択をしているので、全世界株式の時価総額比率と同じく、国内:先進国:新興国の比が約1:8:1の割合になるようにしています(図A)」

「これに対し、全世界株式の配分には国内総生産(GDP)比率という考え方もあります。GDPの場合、国内:先進国:新興国の比率は約1:6:3で、新興国の割合が高くなります」

「30代の普通のサラリーマンなので、自分にとって投資は人生のオマケ的な位置づけです。現実的な投資のしやすさを考えた結果、GDP比率よりも時価総額比率の方がしっくりきました」

「リスク資産と無リスク資産の配分比率は、おおよそ7対3です。リスク資産の評価益が大きくなった場合は積み立ての金額を減らし、評価損が大きくなった場合はスポット投資をして、できるだけ売却せずにリバランス(配分の再調整)をするつもりです」

「無リスク資産でリスクを調整すればいいと思っているので、債券には投資していません。生活防衛資金(生活費2年分)と子供3人分の教育費(1500万円)が十分にたまるまでは、非課税枠をフル活用して積み立て投資を続けたいと思います」

――どんなファンドを積み立て投資していますか。

「信託報酬を業界最低水準にすると約束している三菱UFJ国際投信の低コストインデックスファンドでそろえています(図B)」

「『つみたてNISA』の積み立て投資頻度は『毎日』です。購入金の口座振り替えの度に毎日、ポイントが積み上がっていくからです。月間でおよそ4万円投資し、『iDeCo』は月2万3000円を投資しています」

「2018年9月末時点では、新興国株式型を除くファンドの収益がプラスとなり、リスク資産全体で5%のプラスリターンでした」

身の丈インデックス投資を一歩一歩

――リターンとリスクをどう捉えていますか。

「期待リターンはひとまず年5%を想定していますが、期待リターンはあてになりません。重視しているのはリスクです。いざ大暴落に遭った際のことも考え、最悪のケースとして2年連続の大幅下落でも投資資産が半減する程度には収まるリスクに抑えています」

――投資に対するこだわりはありますか。

「独自の判断を下す余地をできるだけ排除したいと考えています。投資の経験や知識がたくさんあるわけではないので、自らを過信せず常に『投資の素人』の意識を持つようにしています」

「将来の目標額は特に設けず、無リスク資産を確保しながら投資するのが自分のスタイルです。これからも身の丈に合ったインデックス投資の縦走を一歩一歩、続けていこうと思います」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)

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