/

安房さん、華麗なタッチで実況中継(投信ブロガー)

ブログ「海舟の中で資産設計を」を運営している「安房(あんぼう)」さんは神奈川県で母親と2人暮らしの30代前半の独身男性会社員(持ち家住まいで住宅ローン無し)。物流関係の会社で経理を担当している安房さんは、投信ブロガーの間ではちょっとした有名人だ。各種投資家向けイベントではツイッターによる実況中継役として活躍。スマートフォン(スマホ)の華麗な指さばきとタッチで、臨場感あふれる交流会の様子を全国へ瞬時に伝えてくれている。そんな若手投資家の安房さんに、指数連動型インデックスファンドの積み立て投資にはまったワケを聞いた。

■母親から受け継いだ「積み立てと複利」の効果

――投資開始時期とその理由を教えてください。

「投資を始めたのは社会人2年目の2008年10月です。大学生の頃から投資に興味はあったのですが、その頃にようやく、毎月投資できるお金のメドが立ちました。ちょうどリーマン・ショック直後で世の中は金融市場への悲観的なニュースでいっぱいでしたが、これ以上の下げを心配するには及ばないと思っていました。『投資が怖い』という感覚は全然なかったです」

「会社で経理の仕事に就いているので、来年、再来年など中長期の予算計画を立てるのに関わっていたのもラッキーでした。というのも、世の中の会社は販売低迷や株価下落をいつまでも放置するはずはなく、企業業績改善のため何らかの手を打つはずだ、と確信を持つことができたためです」

――最初からインデックスファンドの積み立て投資を始めた理由は。

「母親が私の学費を準備するために、バブル期の高金利で定額貯金をしてくれていたおかげで大学に行くことができました。助かったと思うと同時に、貯金でも金利の力は侮れないのと、毎月コツコツの積み立てを継続することによる複利効果の威力を肌身に感じました」

「大学で『信託法』に関する授業を受けました。運用会社の実務者の方が講義をしてくれましたが、その中で、銘柄分散効果や運用コストの重要性など、インデックスファンドに関する基本的な知識も教わりました。これもラッキーでした」

「個別株だとおのおのの企業についてよく調べたうえで、投資タイミングを見計らう必要があるなど、何かと難しいので、ネットや本からの情報収集もあわせ、ちゅうちょなくインデックスファンドの積み立て投資を始めたというワケです。ごくごく自然ななりゆきでした」

■全国各地のオフ会にも遠征

――ブログを立ち上げたのはいつですか。

「14年からです。ツイッターで投信ブロガーの方々との交流が増えてきたので自分でもブログを始めてみようと思い立ちました。これも自然な流れです。ブログにはインデックスファンドの最新動向やオフ会の様子、税務関連の注意点などを書き込んでいます」

「全国各地で投資家オフ会の『コツコツ投資の会』が開かれています。もともと歴史好きですので、史跡巡りなどの趣味と投資関連の情報交換をする実益を兼ね、休日に羽を伸ばすようにして参加しています」

――ツイッターで実況中継を始めた経緯は。

「特にこれといった理由はないのですが、金融庁主催のつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)に関する意見交換会(通称、つみップ)やインデックス投資ナイトといったイベントに参加するたびに、ツイッターで自主的に速報中継をするようになっていました」

「そのうち、多くの人が見てくれていると知り、役に立つのならという思いから自然と指を動かすようになりました。もともと、ツイッターでの交流が得意だったからかもしれません」

■世界経済の成長を効率的に取り込み

――資産配分と上場投資信託(ETF)への対応を教えてください。

「投資開始当初は、資産配分比率の単純さを優先していたので、国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券の4資産が各4分の1の割合でした」

「現在は世界経済の成長を効率的に取り込むため、株式による資産成長を重視し、地域配分は世界の株式市場の時価総額比を基準にしています。ただ、株式だけだと大きな下落につながる可能性があるので、少しくらいは他の資産も持っておこうと考えて、先進国債券など他資産にも分散投資しています(図A)」

「数年前まで低コストの海外ETFを中心に購入しましたが、現在は国内籍の一般的なインデックスファンドを積み立てています。運用コストが海外ETF並みに下がったためです(図B)」

「購入した海外ETFの大半は今も保有しています。ETFの分配金はそのまま米ドル建てのMMF(マネー・マーケット・ファンド)に移し、ある程度たまった段階で、米ドルのまま海外ETFを買い付けるようにしています。海外ETF特有の税務処理は職業柄慣れ親しんでいるので特に面倒とは感じていません」

「インデックスファンドが大半ですが、信託報酬が低いアクティブ(積極)運用のファンドも味見程度に少し保有しています」

――毎月の投資金額を教えてください。

「iDeCo(個人型確定拠出年金)と特定口座、つみたてNISAをあわせて、毎月十数万円です。企業年金がないので、iDeCoも活用しています。余裕があれば一括投資もします」

「一般NISAをつみたてNISAに切り替えました。120万円を投資した20年後の運用収益がどうなるか比較検討してみたところ、120万円を一般NISAに投じて非課税期間の5年運用した後に課税口座(特定口座)に移管して残りの15年間運用し続けた場合と、120万円をつみたてNISAに40万円、課税口座に80万円と分けて20年間運用した場合とで大きな差異はありませんでした」

「もっとも、私は今年の1月につみたてNISAで40万円弱を一括投資し、年間の非課税枠をほぼ使い切りました」

■年率7%程度のリターン

――成功を感じていますか。

「リーマン・ショック級の暴落に出会ったことのない自分が成功体験を語るにはまだ慎重でありたいと思いますが、投資開始後10年ほどで、税引き後の収益が年率7%ほどなのには満足しています。リスクが報われていると思います」

「たとえ自分を取り巻く業界や国の景況に不安があったとしても、全世界の株式を保有することで、どこかの企業、業界や国から収益が得られるのを感じることができるのは魅力です。自分の金融資産に実際にそれが反映される経済的メリットに加えて、心理的にも余裕が出ます。それで休日の各地への遠征も楽しめています」

「株式比率が高いので、投資金額の6割程度の損失は覚悟しています。これだけは何があっても手元に残る、という安心の元として年収分くらいの現預金(個人向け国債を含む)は確保してあります」

■手取り収入の2割程度を投資に

――同年代の若い世代に何かアドバイスを。

「iDeCoを利用できる人は、iDeCoとつみたてNISAで年満額までの積み立て投資を始めてはどうでしょうか」

「金融庁の『つみップ』でも紹介されていた『人生設計の基本公式』を利用すると、個人差はありますが会社員の場合、老後に必要となる毎年の貯蓄額は手取り年収の2割がひとつの目安になるようです。手取り年収が350万円の人の場合、その2割の70万円程度の貯金が毎年必要という計算です」

「そうすると、iDeCoでの月2万3千円の拠出とつみたてNISAの満額投資はあわせて年70万円ほどになり、必要な貯蓄額と合います。そのうえで、長期・積み立て・分散投資の運用益も老後資金に加わります」

「口座連携機能がある家計簿アプリなどを利用して、自分の月々の収支や借金を可視化するのもおすすめです。根拠ある危機感を持ったうえで根拠のない不安を排除できるので、投資計画を立てる前の自分自身の状況を確認でき、利便性が高いと思います」

「継続的な運用成果に直結するので、低コストは重要です。長期投資を続けていくうえで、現金化する必要がないのに不安にかられて売却したり、相場下落時に手放したりするのはもってのほかです」

「15年の中国人民元切り下げによる金融市場の変調などで一括投資した後にすぐ損失など、私も何度となく痛い目にあわされていますが、売却せずに持ちこたえることでうまく乗り切っています」

「基本的に、同じ投資対象であればだれが買っても同じ結果が出るのがインデックスファンドです。これを『再現性』と呼ぶ人もいます。一方、アクティブファンドは事前に市場平均を上回るかどうかを見極めるのは困難です」

「自分の経済状況や取れそうなリスクに合わせて、インデックスファンドの配分比率を自分なりに考え、そして投資タイミングをはからずに、機械的な積み立て投資をなるべく早く開始すればよいのです」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は高瀬浩、小松めぐみ)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン