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豊島逸夫の金のつぶやき

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人民元発、世界株安 トランプ氏の誤算

2019/8/6 10:40
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人民元が危機ラインとされる7の大台を突破。世界的株安の連鎖を誘発する結果となった。

トランプ氏の対中追加関税電撃発表に対する中国側の対抗措置が人民元安容認という展開だ。貿易戦争が通貨戦争に戦線拡大した。トランプ政権は中国を為替操作国と認定。中国側も、米農産品購入の一時停止を発表。

対中追加関税は米中貿易協議で中国の譲歩を促すための、トランプ流のディール(取引)と見られる。しかし、そこには誤算があった。

現在、中国では政権と長老の対話の場とされる「北戴河会議」が進行中なのだ。習近平(シー・ジンピン)氏も弱腰は見せられない。

さらに、長老たちが最も嫌うことは失業増が誘発する社会不安だ。

対中追加関税が実施されれば、工場閉鎖による失業急増は必至である。そこで、人民元安を容認して輸出産業を支援すれば、追加関税の影響をある程度相殺できる。

トランプ氏は、人民元安容認を為替操作と非難するが、危機ラインを突破した人民元相場は既に「帰らざる河」を渡ってしまった。

市場は、引くに引けないトランプ氏と習近平氏の対決により米中経済冷戦長期化を覚悟している。

5日のニューヨーク(NY)ダウ平均は、一時961ドルまで急落、さらに時間外でも「為替操作国認定」報道で続落する場面もあったが、これは人民元ショックの初期反応で、ほどなく市場は平静を取り戻すであろう。上海発、世界株安が危機的状況になることは、大統領選挙前のトランプ氏が回避すると思われる。

中国側も、人民元安の悪影響を無視できない。資本逃避、民間企業のドル建て債務、輸入原油価格上昇などである。

さらに、SDR(国際通貨基金の特別引き出し権)の構成通貨として人民元が認められている。ドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨として、お行儀の悪いことはできない。

とはいえ、市場は生き物といわれる。ひとたび始まった株安の連鎖により、市場の不安心理は高まっている。米株式の予想変動率を示す変動性指数(VIX)は1日で4割近く急騰。危険ラインとされる20を突破して、24台をつけている。

マネーは株から債券に大移動中だ。

世界的な金利急落が加速している。欧州のマイナス金利は拡大の一途。米国債の逆イールド現象も顕著だ。

米連邦準備理事会(FRB)の利下げ確率も軒並み高まっている。年末までの利下げ回数も3回説が台頭。9月に0.5%の大幅利下げを見込む観測も出始めた。

トランプ氏のFRB批判もエスカレートしている。中国の人民元操作非難の最後に、「FRBよ、聞いているか」とツイートした。FRBにいわれなき責任転嫁するごとき物言いである。

なりふり構わぬパウエルFRB議長への口撃には、株安を中国よりFRBに責任転嫁する意図も透ける。

世界株安連鎖がいったん収束しても、貿易・通貨戦争の同時進行に、市場は身構えざるを得ない。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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