9月の実質消費支出、10.2%減 前年は消費増税前で駆け込み需要

総務省が6日発表した9月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり26万9863円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比10.2%減少した。12カ月連続の減少で、2016年3月から17年5月(15カ月連続の減少)以来の長さ。新型コロナウイルスの感染拡大が続いている影響でサービス関連消費が落ち込んだほか、前年同月は消費税率引き上げを控えた駆け込み需要が膨らんでいた反動が出た。
QUICKがまとめた市場予想の中央値(10.7%減)より減少率は小さかった。季節調整した前月比は3.8%増だった。
内訳をみると、消費増税前の駆け込み需要があった耐久財の落ち込みが目立った。テレビが14.8%減、パソコンが35.4%減、冷蔵庫が45.6%減、掃除機が51.8%減だった。新型コロナの感染が続く中でサービス関連消費も振るわず、パック旅行費が61.4%減、食事代が21.3%減、映画や演劇などの入場料が65.8%減だった。総務省担当者は「1人10万円の特別定額給付金の影響(寄与)はなくなってきた」と説明した。
総務省は9月の消費支出について「駆け込み需要の反動もあって減少幅が拡大した一方、8月と比べ社会経済活動のレベルが引き上げられるなかで教養娯楽や食料が増加となるなど、持ち直しの動きも見られている。新型コロナの影響は続いており、今後の動向には注視が必要だ」とコメントした。
勤労者(サラリーマン)世帯の1世帯あたりの消費支出は30万4161円だった。実質で7.7%減と、12カ月連続の減少となった。
9月の消費動向指数(CTI、15年=100)は、世帯消費の平均額の推移を示す世帯消費動向指数(総世帯)が実質で87.7と、前年同月比11.8%減少した。世帯全体の消費支出総額を推計する総消費動向指数は95.5と前年同月比9.2%減少した。前月比では0.3%増加した。
同時に発表した7~9月期の2人以上世帯の消費支出は、1世帯あたり27万1040円と、実質で前年同期比8.3%減だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕