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豊島逸夫の金のつぶやき

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天安門再来リスクの現実味、市場も異例の備え

2019/9/4 9:27
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香港が米中代理戦争の場と化すシナリオを絵空事と片付けられない状況に市場も身構え始めた。

米レーバーデー(労働者の日)の3連休を終えると、ニューヨーク(NY)市場は一気に秋相場入り。注目の連休明けNY市場は、ダウ工業株30種平均は285ドル急落。外為市場では対円は例外だが、名目実効ドルレートを示すドルインデックスは加速。99の大台に再び接近中だ。

安全性と求めるマネーがドル、円そして金に流入。

国際金価格も心理的節目とされる1550ドルの大台を試す展開。この水準を突破するとモメンタム(勢い)は加速して超短期筋が1700ドルまで金を買い上げるシナリオが浮上する。巻き戻しも速いので逆V字型展開となりやすい。超ドル高なのに超金高という、従来の「市況の法則」では考えられない展開は、逃避マネーの規模が異常な水準に達していることを映す。

3日の市場変動要因としては米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数が景況感の境目とされる50の大台を割り込み49.1まで下落した。あくまで「購買担当者」対象の調査結果だが、歴史は長く信頼度は高い経済指標だ。「製造業不況」が「消費不況」に転化する可能性を市場は懸念する。

この指標悪化の最大要因は、やはり米中貿易摩擦。

3日の欧米市場では、特に、香港問題がもはや対岸の火事ではなく、無視できないリスクとして意識されている。

中国政府系メディアが発する「緊急事態」宣言の可能性が本格介入の連想を誘発。「北戴河会議」で長老たちとも十分な議論が尽くされ、習近平(シー・ジンピン)政権が党内基盤を固めたうえで強硬路線に走る可能性が市場内でも語られる。「もはや香港問題はレッドラインを超えた」との認識が広まっている。

いっぽう、米国内世論も中国叩きの一点では一致している。

トランプ大統領も、これまで香港問題を牽制する発言を繰り返してきたが、さらに貿易戦争をエスカレートさせる暴走シナリオが9月の市場変動要因として浮上しつつある。

米国の3連休前には「休戦シナリオ」を視野に米中接近の期待感が市場には漂っていた。しかし、連休中、テレビ画像に流れる香港の騒乱を見せつけられ、3日の市場に「期待感」は消えていた。

米中瀬戸際状況から、にらみ合ったまま偶発的にクリフ(崖)を落ちる最悪のシナリオに備え、投資家のリスク減らしが目立つ。

米国は9月に入りいきなり超大型ハリケーン「ドリアン」に見舞われた。マーケットも9月の大嵐が直撃する予感に揺れている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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