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「ウォーレン財務長官」の観測浮上 身構える投資家

11月3日に投開票が迫る米大統領選挙。ニューヨークの市場参加者はバイデン前副大統領が勝利し、同時に議会両院で民主党が過半数を獲得するという「青い波」をメインシナリオとして、頭の体操に余念がない。すでに新政権の閣僚人事まで取り沙汰され、なかでも投資家が最も注目するポストは財務長官だ。

その最有力候補が、ウォーレン上院議員。ウォール街にとっては「悪夢のシナリオ」となりかねない人選だ。同氏は民主党大統領候補としては撤退を余儀なくされたが、その後はバイデン氏の経済顧問役として影響力を維持してきた。バイデン氏当選のあかつきには、「財務長官」のポストに意欲十分とされる。

そうなるとウォール街が連想して身構えるのは、まず金融規制強化だ。特に大手金融機関がやり玉にあがりそう。真っ先に大手銀行のウェルズ・ファーゴの不正口座問題にメスが入りかねない。批判の矛先は監督機関としての米連邦準備理事会(FRB)、そして米証券取引委員会(SEC)にも及びそうだ。トランプ政権下で骨抜きになった米消費者金融保護局(CFPB)も、復権に動きそうだ。

バイデン氏は、金融行政で独自色を打ち出したいところ。そもそもトランプ氏との差別化を意識して、ウォール街とは明確に一線を画す姿勢を明示してきた。そこまで深読みする投資家は、バイデン氏当選となればリフレ期待で株式相場全体が上昇しても、銀行株には警戒感を抱く可能性がある。

一方、ウォール街が大歓迎する財務長官候補としてはブレイナードFRB理事の名前も挙がる。オバマ政権で財務次官を務め、トランプ政権下のFRBでは、コロナ対応の目玉となった民間への融資プログラムの担当者となっている。この政策には財務省の実質的信用保証(バックストップ)が付く。米連邦公開市場委員会(FOMC)内で「超ハト派」として知られている。

それでも、トランプ氏の「株価至上主義」を批判してきたバイデン氏は、民主党左派への配慮からウォーレン上院議員を指名する可能性が高いとみられている。ウォーレン氏とブレイナード氏の共通項は女性ということ。ダイバーシティーの観点からは、黒人系のボスティック・アトランタ連銀総裁の名前も挙がるが、2人の女性候補に比べ知名度を考えると実現性は低そうだ。

「バイデン政権」が誕生した場合、株式相場にとってリフレ政策のメリットが増税のデメリットを当面は上回るとの評価が浸透しつつある。しかし、財務長官人事もリスク要因として浮上してきた。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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