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株500円安、米中「徹底抗戦」で干上がる日本

2日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、前日比の下げ幅は500円を超えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の楽観ムードに、米政権による「対中制裁関税第4弾」の発動表明が冷や水を浴びせた。追加利下げなど摩擦長期化への備えがある米中とは対照的に、とばっちりを受けるのは実は日本だ。関税第4弾の対象となるスマートフォン向け部品を手がける電子部品株は総崩れとなった。パフォーマンスの悪さで知られる8月相場に早くも不穏な空気が漂い始めた。

「米連邦準備理事会(FRB)がトランプ米大統領の期待に沿う仕事をせず、追加関税の発動表明につながった」。そう指摘するのは野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストだ。大統領には米利下げで米国経済に安定性という「保険」をかけるだけでなく、ドル安誘導で貿易相手国との競争条件を改善させ米国の貿易赤字を縮小したいという意向があると読む。今回、FRBは10年半ぶりの利下げに踏み切ったものの、利下げの迫力不足でドル安どころかドル高に振れたため、追加関税表明でドル安につなげたいとの見立てだ。

三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーも「第4弾の発動表明で早期の合意は難しくなり、米中対立の長期化は避けられない」と警戒する。とくに市場が気をもむのが、とばっちりを受けるのは日本という点。野村総研の木内氏の試算によれば、第4弾まで発動された場合の国内総生産(GDP)の押し下げは、米国が1.0ポイントに対し、日本は0.6ポイント。米国の潜在成長率が2.0%、日本が1.0%未満であることを勘案すると、日本企業への悪影響は当事国の米国よりも大きいという。

米中対立が激化すれば米経済減速で利下げが進みやすい。するとドル安を通じて円高が進み、輸出株主体の日本株を押し下げる要因になる。日銀の政策緩和余地が米中などに比べ限定的なことも、日本株の売りを促しやすい。

6月下旬の米中首脳会談以降、貿易戦争は一時停戦といったムードが広がり、市況回復への期待で上昇した東エレク(8035)や村田製(6981)などのハイテク株をけん引役に日経平均は戻り歩調を強めていた。だが、新たに制裁関税の対象となる3000億ドル分には、スマホやノートパソコンなどのIT(情報技術)製品が多く含まれる。直近に発表した4~6月期業績は減益の企業も多く、2日の東京市場では下期の回復期待が薄れたとして、村田製やTDK(6762)、東エレクなどが売られた。

薄商いの8月は株式のパフォーマンスがさえないことでも知られる。2009年1月からの過去約10年間の日経平均の月別勝率(上昇を勝ち、下落を負けと見なす)は8月が40%と最低。8月は多くの市場参加者が休暇に入り売買が低調になるため、ちょっとした材料に市場が反応しやすく、ボラティリティーが上昇しやすい傾向にある。中国が報復関税を打ち出し米中が徹底抗戦の様相となれば、米中の狭間で8月の日本株相場は予断を許さない展開になりそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵〕

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