10/26 17:00更新 マーケット 記事ランキング

最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 23,494.34 -22.25
日経平均先物(円)
大取,20/12月 ※
23,480 -10

[PR]

豊島逸夫の金のつぶやき

フォローする

バフェット氏商社株買いの実相と波紋

2020/9/1 11:33
保存
共有
印刷
その他

バフェット氏は1年前から日本の商社株を買い始めていた。かつて訪日の際に、福島県いわき市の企業を訪問したこともある日本に目がいき、日本国内では不人気の商社株のバリューがお目に留まったようだ。

そして、新型コロナウイルス感染拡大による株式相場の暴落が勃発。同氏は安値を拾い損ねたので、いまや高値圏になってしまった米国株をいまさら買えない。しかも、これまで米国株運用に偏っていたので、いまや、視点を海外に向けているようだ。日本商社株の購入は、その先駆けといえよう。

コロナ危機ではおおむね「動かず」の姿勢を貫いてきたので、今回は久しぶりの本格投資案件である。それゆえ90歳誕生日の記念行事のごとく、日本時間の8月31日発表に至ったと思われる。

米国内では、コロナ禍で瀕死(ひんし)の米国航空会社を見切り売り、日本の企業に助勢した、との不満も見え隠れする。

それにしても、「バフェット様お買い上げ」のお墨付き効果はすごいと実感している。

31日は、欧米時間に入ると、この話題が経済メディアでトップ扱いの報道となった。欧米市場で貴金属を売買するトレーダーたちまでが、商社株、日本株一般についての情報を求めてくる。日本の首相辞任報道の時と比べても、マーケットの反応がはるかに強い。

ただし、ニューヨークの大手投資銀行の日本株デスクなど日本企業に詳しいスペシャリストの意見は割れている。日本株投資でなぜ商社株なのか。Eコマース(電子商取引)の時代に、総合商社は古いビジネスモデルで、変動の激しい資源価格の影響を受けやすい、など辛口の評価も目立つ。

今回の動きは、「投資会社」としてのバークシャー・ハザウェイが、「投資会社」の色彩を強める総合商社とのシナジー効果を期待した、との冷静な見方も根強い。

対照的に、日本株の知見が薄い個人投資家のレベルでは、バフェット氏が買ったのであれば一口乗りたい、とのフォロー派が少なくない。おりから、米国株式市場ではコロナ危機にあたりパパママ投資家たちの参入が話題になっている。彼らにとって、バフェット氏は、まさに「投資の神様」だ。

機関投資家の間では、バフェット氏の購入実績が明示されれば、社内、あるいは年金基金内でも正当化されやすく、買いの抵抗感も薄まる、との安堵の声も聞かれる。

総じて、バフェット効果により、これまで「エキゾチック」というレッテルを貼られ、関心が薄かった日本株セクターが改めて見直されてきた。投資の神様の動きが、日本株にとってゲームチェンジャーになる可能性を秘める。

なお、商社株を過去1年間にわたり「定期的に」買ってきた、という事実は、個人投資家にとって良い教訓となろう。投資の神様でも、株購入は時間軸で分散するいわゆる「コツコツ」型の投資に徹しているのだ。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

豊島逸夫が語り尽くす 金 為替 世界経済

出版 : 日経BP
価格 :1045円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

豊島逸夫の金のつぶやきをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ