米中協議再開を好感、反発か(先読み株式市場)
1日の東京株式市場で日経平均株価は反発しそうだ。米中貿易摩擦に対する警戒感が後退し、運用リスクを取りやすくなった投資家からの買いが先行する公算が大きい。機械や電子部品といった景気敏感株を中心に買われ、日経平均は前週末終値を200円あまり上回る2万1500円近辺に上昇するとの声があった。
大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にあわせ、6月29日に会談したトランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)中国国家主席は5月から途絶えている貿易協議の再開で合意した。米国がすべての中国製品に関税をかける「第4弾」の発動は回避された。米企業による中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への部品販売も一部認める方針に転じた。これまで様子見姿勢に傾いていた海外投資家の買いを誘う公算が大きい。
1日早朝の外国為替市場で円相場は1ドル=108円台前半と、前週末の日銀公表値(107円63~65銭)より円安に触れているのも支援材料だ。
トランプ氏は30日には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長とも電撃的に会談した。2020年の米大統領選を見据えたパフォーマンスとの見方があるが、朝鮮半島の非核化の進展には時間を要する公算が大きい。
トランプ氏は日米安全保障条約についても「不公平な合意」とし、日本に見直しを求める姿勢を示している。「トランプ氏の極東政策は必ずしも日本にとってメリットが多い訳ではない」と受け止められると、日本株の重荷になる可能性がある。
前週末の米株式市場でダウ工業株30種平均は73ドル高と4日ぶりに反発した。米中協議の進展期待から買いが優勢だった。
1日は6月の日銀企業短期経済観測調査(短観)が寄り付き前に発表される。大企業製造業の業況判断指数(DI)の「最近」について市場予想の中心値はプラス9と3月調査のプラス12から悪化が見込まれている。
個別業種で注目されるのは大企業の小売りだ。3月調査時点の「先行き」のDIはプラス8と楽観的な見通しだった。きょう発表の「最近」のDIが前回の「先行き」を大きく下回るとネガティブサプライズと受け止められるだろう。政府は10月からの消費増税を固めているが、「土壇場でちゃぶ台返しになる可能性は残る」(大手シンクタンクのエコノミスト)との声もある。
海外では6月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表がある。石油輸出国機構(OPEC)は1日に定例総会を開く。6月末に期限を迎える協調減産を年末まで延長するとの見方が多い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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