中国家電・美的の独クーカ買収、米当局が承認
【フランクフルト=加藤貴行】産業用ロボット世界大手の独クーカは30日、中国家電大手の美的集団によるクーカ買収が米当局の承認を得たと発表した。これで買収実現に必要な当局の承認がすべておりたことになり、2017年1月前半に買収が完了する予定。ファナックや安川電機、ABB(スイス)と並ぶ産業用ロボット4強の一角が中国企業の傘下に入り、業界の競争環境も変わりそうだ。
米国の対米外国投資委員会(CFIUS)と国務省の国防貿易管理局(DDTC)が29日付で、美的の子会社を通じたクーカの買収を承認した。
美的はTOB(株式公開買い付け)により、8月時点でクーカ株の9割超を取得している。ただ、クーカは米国の軍需産業との取引があり、米当局が中国企業の傘下入りによる安全保障上の影響を審査していた。
これに対し、クーカは12月、軍需向けを手がける米子会社クーカ・システムズ・エアロスペース・ノースアメリカを、自動化システムの米アドバンスト・インテグレーション・テクノロジーに売却すると発表。米当局の懸念の払拭に動いていた。
クーカと美的は23年末までドイツ国内の拠点や雇用は維持し、クーカの取引先のデータに美的が介入せず、経営陣も続投することで合意済み。クーカは経営の独立を担保された形で、世界の産業用ロボット需要の3割弱を占める中国での事業強化に本腰を入れる。美的のネットワークを活用し、日本勢などに対抗する。