自動ブレーキ全車種搭載を発表 米当局、22年までに20社
【ニューヨーク=中西豊紀】米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は17日、衝突を回避するための自動ブレーキを2022年9月までに全車に標準搭載することで自動車メーカー20社と合意したと正式発表した。今回の合意で米国市場の99%以上を占める車が搭載対象になるという。
合意したメーカーは米系がゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、FCAUS(旧クライスラー)、電気自動車ベンチャーのテスラ・モーターズなど。欧州はフォルクスワーゲン(VW)、BMW、メルセデス・ベンツ、スポーツカーで知られる伊マセラティなど。日本勢はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、富士重工業、三菱自動車、マツダが入った。韓国の現代・起亜グループも含まれる。
自動ブレーキはカメラやレーザー、レーダーで前方の車や歩行者を検知し、ぶつかりそうになると自動制御で急ブレーキをかける装置。標準搭載を求める車は一般の乗用車にとどまらずトラックも含めた。フォックス運輸長官は声明で「合意により、数千の命を救うことができる。消費者利益にもかなう」とした。
搭載には法的な義務がないが、NHTSAは業界の合意とすることで「法制化するより3年早く事故防止の取り組みを進めることができる」と説明した。15年に約3万8000人が交通事故で死亡するなど車の安全確保が社会問題になり、早期対策を重視した。
日本でも広島県の山陽道トンネルで車十数台の多重事故が17日に発生した。高齢者によるブレーキとアクセルの踏み間違え事故も後を絶たない。米国が対応に動いたことで、日本で自動ブレーキの標準搭載をメーカーに求める声が高まる可能性もある。
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