米、金融危機対応に区切り 物価など死角も
9年半ぶり利上げ

2015/12/17 4:15
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりの利上げを決め、2008年の金融危機封じ込めを狙った異例の大規模緩和策は区切りを迎える。延べ3回の量的緩和策がマネーの流れを支えたものの、ゼロ金利政策は結局7年間も続いた。もっとも新興国の減速や原油安は、米利上げの副作用とも指摘され、世界経済の「完治」は遠い。

FRBが事実上のゼロ金利政策を敷いたのは08年12月。ほぼ同時期に量的緩和にも踏み切った。同年9月の米大手証券リーマン・ブラザーズの経営破綻で資金の出し手が市場からいなくなり、FRBが危機の震源地である住宅市場の証券を買い取って資金供給し、凍り付いたマネーの流れを取り戻そうとした。

ゼロ金利と量的緩和は金融危機の封じ込めには効果があった。米政府が金融機関の不良資産をなりふり構わず買い上げたこともあって、金融機関の連鎖破綻は止まり、09年半ばに米経済は再び回復軌道に戻った。ただ、その後も経済成長率は2%程度と伸び悩み、7年間も「政策金利の正常化」(イエレン議長)ができないままだった。

FRBが利上げに踏み切ったのは景気拡大局面が6年強に達し、失業率も危機直後の10%から5%まで下がったためだ。9月にもゼロ金利解除を検討したが、直前の世界同時株安で断念。市場が利上げを十分に織り込むのを待つため「年内の利上げが適切」とイエレン議長らは何度も繰り返して準備を促した。

結果として投資家は十分に織り込んだものの、利上げのショックを受け流せるほど市場は頑強ではない。緩和マネーが流入して投資を支えてきた原油市場や新興国市場は、資金が逆に流出して商品安・通貨安が深刻だ。

米国は再び世界経済をけん引する役割を担う。ただ、利上げはドル高を招いて米国の輸出競争力を弱め、長期金利が上昇すれば住宅投資にも影響する。物価上昇率も1%台前半止まりで、FRBが目標とする2%は遠いままだ。米景気に過熱感のない中での引き締め開始は、危機対応の終幕こそ意味するものの、平時の経済を下押しするリスクをはらむ。

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