2019年1月16日(水)

エボラ熱の死者5000人超す 治療施設の不足深刻

2014/11/13付
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【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は12日、西アフリカなどで感染が広がったエボラ出血熱の死者が9日までの集計で5160人になったと発表した。疑いのある人も含めた感染者数は1万4098人。国際機関や主要国は治療センターの増設を急ぐが、感染拡大の速度には追いついておらず、ワクチン開発などにも多くの課題が残っている。

過去2週間ほどはWHOが集計方法を見直したため死者数が減っていたが、今回の集計で正式に5千人を突破。西アフリカ3カ国では最も感染者の増加が速かったリベリアでやや減速する一方、シエラレオネで感染の勢いが増している。

封じ込めで最も重要なのは感染者を早く隔離・治療し、遺体は適切に埋葬することだが、WHOによるとリベリア、シエラレオネ、ギニアで稼働する治療センターは19カ所と計画の53カ所に対し半分以下。ベッド数は目標の24%にとどまる。

適切に対処した遺体は10月末で全体の87%。葬儀で死者に触れる風習がある西アフリカでは改善傾向にある。ただ、遺体を適切に処置するために活動している専門チームは140で、目標の370には遠く及ばない。

治療ではまず血清の利用を急ぐ。回復した人の血液に含まれる抗体を輸血などで別の患者に注入すれば、理論上は免疫を強めることができる。米国などで回復した患者は、未承認薬の投与と併せて回復患者の血液を治療に使った。未承認薬の安全確認よりも早く導入できるのが利点。リベリアでは近く血液を採取し、血清を作るための設備が整う予定だ。

ワクチンは有力候補2種類の臨床試験が進む。英製薬大手グラクソ・スミスクラインなどが開発するワクチンは既に米英で試験が始まり、スイスでも西部ローザンヌの大学病院が10月末に治験を開始。カナダ公衆衛生庁などが開発した別のワクチンも、スイス当局がジュネーブでの治験を承認した。

早ければ来年1月にも西アフリカで試験的に利用し、6月までに数十万人に行き渡るだけの量産を実現する見通し。ただ、セ氏マイナス80度で保管する必要があり、技術的な課題があるとされる。

富士フイルムホールディングスの子会社が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」など、未承認薬の治験も各地で始まっている。ただ、効果を正確に把握するにはプラセボ(偽薬)を与えた患者との違いを知る必要があり、救命優先の観点から倫理面の問題を指摘する声もある。

世界への余波も広がり続けている。オーストラリアとカナダは自国民の保護を理由に、西アフリカ3カ国に滞在した外国人に対する査証(ビザ)の発給を停止。サッカーではモロッコがエボラ熱に配慮し来年1月に予定していたアフリカ選手権の開催延期を求めたが、アフリカ・サッカー連盟は認めず、モロッコでの開催と同国の出場資格を取り消した。

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