「パナマ文書」考 租税回避地の闇が動かす中国の権力闘争
編集委員 中沢克二
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中国の権力闘争では、内部で生死をかけた泥仕合が演じられる。圧倒的多数の国家が採用する選挙という民主的で公正な手段がないためだ。元最高指導部メンバーの周永康、元重慶市トップの薄熙来を巡る激烈な闘いがその良い例だった。
闘いの武器は、当時の首相、温家宝の親族を巡る巨額の蓄財疑惑。そしてトップへの就任が決まっていた習近平の親族の資産問題などだ。中国の特殊な政治体制の下では、情報の真偽と別に政治的な利用価...
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経済や安全保障面で米国の一極支配を打破しようとする中国の習近平政権の中枢で何が起きているのか。習国家主席による腐敗撲滅政策の狙いなどを的確に報じ、「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した中沢克二・日本経済新聞編集委員(前中国総局長)が深掘りする。