伊次期首相にジェンティローニ外相 大統領が指名

2016/12/11 21:38
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【ジュネーブ=原克彦】イタリアのマッタレッラ大統領(75)は11日、パオロ・ジェンティローニ外相(62)を次期首相に指名し、組閣を要請した。同国では4日の国民投票で上院の権限を大幅に縮小する憲法改正案が否決され、賛成を呼びかけたレンツィ首相(41)が引責辞任した。大統領は銀行の不良債権問題など喫緊の課題への対応を重視し、選挙を回避し新内閣の樹立を優先した。

イタリア次期首相に指名されたジェンティローニ外相(10月、トルコ・アンカラ)=AP

ジェンティローニ氏は大統領との会談後に「レンツィ政権の継続性を尊重する」と報道陣に語った。新内閣は暫定政権との位置付け。上下院で整合性がない状態になっている選挙制度を改めたら、上下院の議員が任期を満了する2018年を待たずに総選挙を行う可能性がある。

中道左派・民主党の下院議員であるジェンティローニ氏は近く閣僚名簿を大統領に提出し、大統領が受理すれば新内閣が成立する。新内閣が実権を持つ政権として発足するには、上下院の両方で信任される必要がある。議会はレンツィ氏が率いる民主党を中心とする連立与党が過半数を抑えており、造反がない限り信任される見通しだ。

2014年に首相に就いたレンツィ氏は上院と下院が同等の権限を持つ現行の憲法を改めることで政治の安定と改革の加速を狙ったが、改憲案は国民投票で否決された。欧州連合(EU)懐疑派の新興政党「五つ星運動」など野党はレンツィ政権への不信任だったと主張、早期に総選挙を行うべきだと主張している。

イタリアでは銀行が多額の不良債権を抱え、経営の健全化が急務。特に経営状態が深刻な銀行3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナはレンツィ氏の辞任による政局混乱への不安から、年内に完了するはずの増資計画が頓挫する懸念がある。他のイタリアの銀行やユーロ圏全体に広がりかねない案件で、政府は公的資金の注入で救済することも検討している。

ジェンティローニ氏はローマ出身の元ジャーナリスト。ローマ市の役員などを経て01年に下院議員に当選し、06年からプローディ政権で通信相を務めた。14年に当時のモゲリーニ外相がEUの外交安全保障上級代表に転身したのを受けて外相に就任した。

多数の左派政党が民主党へとまとまった際に、創設メンバーに加わっていた。民主党内では若手のホープとして台頭したレンツィ氏を早くから支持。首相辞任後も民主党の書記長(党首)にとどまったレンツィ氏は次の総選挙で首相への復帰を狙うとの見方があり、野党はレンツィ氏のかいらい政権だと非難する可能性もある。

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