中国の国産中型旅客機が初飛行 国際市場に照準

2017/5/5 15:14 (2017/5/5 16:23更新)
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【上海=張勇祥】中国は5日、開発中の国産中型旅客機「C919」の初飛行に成功した。当初は2012年の完成を見込み、16年に1号機を引き渡す計画だったが、数年遅れで開発の節目にこぎ着けた。将来的には米ボーイングや欧州エアバスの競合機より4~5割も安い価格を武器に、両社の牙城を切り崩したい考え。16年に国内線で就航した小型機「ARJ21」では果たせなかった国際市場への進出に改めて挑戦する。

初のテスト飛行を終えたC919(5日、中国上海の浦東国際空港)=共同

初のテスト飛行を終えたC919(5日、中国上海の浦東国際空港)=共同

飛行試験用の1号機が5日午後2時(日本時間午後3時)、上海の浦東国際空港を飛び立ち、午後3時20分ごろ着陸した。初飛行の様子は国営中央テレビが中継。4月に進水した初の国産空母や宇宙補給船「天舟1号」による燃料補給などと並ぶ国家プロジェクトであることを強調した。C919はすでに国内航空会社やリース会社から570機を受注している。一般に採算ラインとされる400機を超えており、世界2位の経済規模を持つ中国市場の恩恵を受けている。

中国にとって次の目標はボーイング、エアバスが寡占する航空機市場への挑戦だ。

C919の座席数は150~170ほど。ボーイングの「B737」、エアバス「A320」がライバルになるが、「新鋭のエンジンを搭載するなど、機体の性能差は大きくないと考えられる」(航空経営研究所の橋本安男主席研究員)との声がある。エンジンだけでなく、操縦用電子機器など多くの欧米製部品を採用している。

一方、1機当たりの価格は5000万ドル(約56億円)とされ、カタログ価格で1億ドルほどの競合機より大幅に安い。発注条件や交渉で価格差は縮小するとみられるが、価格だけをみればC919の優位性は大きい。

初飛行を果たしたC919にとって次の難関は米連邦航空局(FAA)や欧州航空安全局(EASA)から「型式証明」をいかに取得するかだ。事実上の世界基準であるFAA、EASAのお墨付きがないかぎり、世界の航空会社の多くは購入を見送るのが航空業界の実情だ。16年に商用運航を果たしたARJ21はFAAの型式証明を取得できておらず、海外からの受注はアフリカやアジアなど中国と親密な一部国家に限られている。

航空業界では「まずは市場の大きな中国国内で実績を積み、運航を始めて数年後の証明取得を目指すのでは」との声がある。実際に世界に打って出るのは20年代になってからになりそうだ。

ただ、型式証明を取得できたとしても競争は厳しい。販売網をどう築くかに加え、部品補給やメンテナンスなど息の長いサービス供給が求められるが、実績は皆無だ。証明取得やサービス網の構築に時間がかかれば競合機の改良が進み、競争力を失うことも考えられる。

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