2018年2月21日(水)

競技存続の岐路、欠かせぬマナーと自然保護の意識

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2014/9/18 7:00
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 トレイルランニングを始めてわずか1年半だが、人気が急上昇するのとは裏腹に、競技に対する風当たりが強くなっていることを感じることが多くなった。「歩行者と接触すると危険」「自然が傷つく」と反対の声が次第に大きくなり、大会が中止になるケースも出てきた。競技人口が拡大する中、一部にマナーの悪いランナーがいることは否定できない。山の限られた一本道をどう共有するか、ランナーや大会運営者は一層気を配る必要がある。

ハイキング客とすれ違うトレランのランナー(右、神奈川県鎌倉市)

ハイキング客とすれ違うトレランのランナー(右、神奈川県鎌倉市)

鎌倉市で「条例化」へ?

 「すわ、トレラン規制か」。今年3月、衝撃的なニュースが流れた。人気のハイキングコースがある神奈川県鎌倉市の市議会本会議で、「トレイルラン規制の条例化についての陳情」が可決されたのだ。

 陳情書を出したのは長年ハイキングコースの整備や清掃活動に携わってきた同市内のボランティア団体。「トレラン人口が増え、狭い山道に歩行者とランナーが混在している。マナーが悪いランナーも多く、歩行者が接触して滑落、転倒する危険がある」として、コースでの「タイムレースや団体走行の禁止」「個人も含む全面禁止」などを訴えた。

 きっかけは昨年12月に開催予定だった大会「第10回鎌倉アルプストレイルラン大会」だ。多くのハイキング客が通る狭い山道を数百人のランナーが走ると危険だと考えたボランティア団体は、市を通して大会の主催団体に開催自粛を要請した。鎌倉市長が「中止依頼」を通達する事態に至り、主催団体は中止を決めた。ただ、同じ団体の主催で、翌年2月にも鎌倉の山道を通るトレラン大会が予定されていたため、ボランティア団体は条例制定の陳情に動いた。

多くの観光客が訪れる鎌倉市。「トレイルラン規制の条例化についての陳情」が可決された

多くの観光客が訪れる鎌倉市。「トレイルラン規制の条例化についての陳情」が可決された

 陳情可決が即「トレラン条例」の制定につながるわけではない。同市観光商工課も「危険という主張は認めるが、条例制定までは考えていない」としている。今後、市内のハイキングコースを通るトレランの「大会」に限って中止を要請し、様子を見る方針だ。

 騒動の舞台となった鎌倉のコースは、都内から近いこともあり、週末は練習や体験会に参加する多くのトレイルランナーが集まると評判だ。一体どんな様子なのか、トレランの装備を身につけてコース約15キロを1人で走ってみた。

 コースに入ったのは土曜日の朝9時。市街地を見下ろす標高100メートル台の山道は、よく整備されて走りやすい。昼が近づくと、個人や集団のハイキング客がかなり増えてきた。途中、寺の拝観をはさみながら走った3時間程度の間に、トレイルランナーらしき格好をした人も20人ほど見かけた。

 ランナーが歩行者を追い越したりすれ違ったりするときの様子をよく見ていると、スピードを落として「こんにちは」と声をかけ、会釈をして通る人がほとんど。コースの幅が広いところでは減速しない場合もある。その日は、問題とされているような「どけどけ」とばかりに猛スピードで「暴走」するランナーには会わなかった。

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