アグリテック投資、3年で1兆円超 食糧不足など背景に
アグリテックの開発競争に拍車がかかっている背景に、世界的な経済停滞や食糧不足、貧富の差の拡大といった問題がある。2050年に世界の人口は100億人に増える見通しで、食糧生産を現在より7割以上増やす必要がある。

こうした課題解決のため、アグリテック関連スタートアップには多額の資金が集まっている。投資仲介を手掛ける米アグファンダーによると、米国などのアグリテック投資は過去3年間で100億ドル(1兆1200億円)を超える。
動物に頼らない食の確保を目指す米クララ・フーズは酵母を使ってたんぱく質を作り、卵白代替品を製造する。鶏に由来せず、鳥インフルエンザなどの心配がない。この挑戦を支えるのが潤沢な投資資金だ。同社はバイオ分野の有力アクセラレーター、インディバイオなどから資金調達している。
日本でも成長意欲のある農業系スタートアップは増えている。ただ、小規模農家が多く、先端技術の効果や市場は限定的だ。トーマツベンチャーサポート(東京・千代田)の佐藤史章事業開発部長は「アグリテックを新産業に育てるには海外進出を後押しすべきだ」と指摘する。ベンチャーキャピタルや大企業などが資金を供給し、新規株式公開(IPO)を目指せる規模に育てていくことが必要だ。