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「家庭用ロボ、10~15年で一大分野に」トヨタAI子会社CEO

トヨタ自動車の人工知能(AI)研究開発子会社、米トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)のギル・プラット最高経営責任者(CEO)が20日、日本経済新聞などのインタビューに応じた。プラット氏は家庭用ロボットがAIの有力な応用分野であると指摘し、「10~15年以内にトヨタや産業界にとって一大分野になる」との見方を示した。

トヨタは1月、米シリコンバレーでTRIを設立し、プラット氏をCEOに起用した。同氏は米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)で、災害対策ロボットのコンテストの責任者を務めた。5年間で10億ドル(約1040億円)を投じて200人規模の研究者を確保する目標を掲げていたが、プラット氏は「計画よりも早く進んでいる」と話した。

予定していたシリコンバレーと米マサチューセッツ州に加え、米自動車大手などが集積する米ミシガン州にも拠点を開設した。都内でも拠点開設に向けた準備を進めている。焦点となっている研究者の確保については、「現在の社員は約100人で、このうち70人が新規採用だ。大学や米グーグルなど他社からも雇っている」と述べた。

AIに関しては、幼少期に悲惨な自動車事故を目撃した経験などを紹介し、自動運転技術など自動車の安全技術が応用対象になると説明。さらに高齢者の移動手段の確保に焦点を当てるとともに、家庭用ロボットなどで「トヨタの良品廉価の製品を生産する技術を生かし、事業領域を拡大したい」と抱負を述べた。

プラット氏が強いこだわりを持つとされるのが、これまでのキャリアを通じて知見を深めてきたロボット分野だ。今月初めには米グーグル傘下のロボット開発会社、米ボストン・ダイナミクスとSCHAFT(シャフト)の2社の買収交渉を進めていることも明らかになっている。

プラット氏は大詰めを迎えているとされる買収交渉については直接的な言及を避けたが、一方で「他社との協業はTRIの基本的な考え方のひとつだ」と説明した。トヨタが強みを持つ製品の安全性や交通情報といった分野では他社との協力が可能と指摘した。

家庭用ロボットの実用化・普及については個人的な予測との位置付けだが、「10~15年後」との目安を示した。日本を中心とする高齢化の進展に加え、スマートフォン(スマホ)の普及で安価なセンサーなどが登場していると指摘。さらにディープラーニング(深層学習)などAIの中核技術が利用になってきたことも追い風としている。

約1時間のインタビューで何度も使ったのは、「humble(謙虚な)」という単語だ。AIに対して「人の仕事を奪う」といった否定的な見方があり、自動運転も事故の際の責任をどうするかといった問題が横たわっている。新技術を巡る社内外との摩擦に配慮する姿勢を伺わせた。

AIについては「人類が火を使えるようになったのと同じ。危険さもあるが利点が大きく、AIでも品質管理を徹底することで発明してよかったと言ってもらえるようにしたい」と強調した。自動運転も社内で法務部門などと突っ込んだ議論を進めていると説明。スピード感と慎重さのさじ加減が今後のカギを握りそうだ。

(名古屋支社 奥平和行)

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