国産漆の危機、手拭いでアピール 浄法寺漆産業
「漆を植ゑよ!」――。漆器の企画・販売を手掛ける浄法寺漆産業(盛岡市)は国産漆が危機的に不足している状況を知ってもらおうと、オリジナルの手拭いをつくった。売り上げの1部を漆の植栽経費に充てる。
デザインは1929年に当時の農林省などがつくった漆振興のポスターがモチーフ。漆の葉と漆かきの跡をあしらい、レトロ調に仕上げた。
国内で使われる漆の98%は中国産で、国産はわずか2%。このうち約7割が岩手県二戸市で生産される「浄法寺漆」だ。2015年2月、文化庁が国宝や重要文化財の建造物を修繕する際、国産漆を使うよう通知。需要が高まっているが、採取する職人の高齢化や減少に加え、漆の苗木も足りなくなっている。
漆は苗木を植えてから採取できるまで約15年かかり、1本の木から採れる樹液は200グラムほどしかない。同社の松沢卓生社長は「苗木を増やさないと将来が大変なことになる。国産漆に少しでも関心を持ってもらいたい」と話す。限定300枚、価格は1200円。同社のネットショップで販売している。