小笠原への空路、父島への飛行場案軸に
東京都と小笠原村は27日、小笠原諸島と本土を結ぶ航空路開設について検討する協議会を7年ぶりに開いた。都は従来示してきた3案のうち、父島の洲崎地区に飛行場をつくる案を軸に検討する方針を説明した。自然環境への影響や運航採算性などを今後具体的に検証する。ただ実現に向けては課題がなお多い。
都が優先して検討するのは父島西部に定員50人程度のプロペラ機が離着陸できる長さ1200メートルの滑走路を持つ飛行場を設ける案。ただし峠を切り崩したり、海を埋め立てたりと周辺の自然環境に与える影響は大きい。このため、滑走路の長さや使用機材を変えて影響を減らす方法も並行して検討するという。
硫黄島の自衛隊基地を中継地にしてジェット機とヘリコプターで本土から父島まで乗り継ぐ案、水陸両用飛行艇で本土と父島を直行便で結ぶ案も検討してきた。ただ同日の会合ではともに困難な課題が多いと報告。父島の飛行場案を優先して検討する方向となった。
会合に出席した小笠原村の森下一男村長は「課題は多いが、村民の安全・安心のためにも航空路は悲願だ」と強調。小笠原諸島の返還50周年となる2018年6月をメドに、一定の方向性を出すよう改めて都に求めた。