日銀秋田「人口減対策のカギは生産性向上」 特別リポート公表
日本銀行秋田支店は「秋田県の人口減少と労働生産性」に関する特別調査リポートをまとめた。全国最速で進む人口減少問題の処方箋として、「労働生産性を向上して大都市圏との賃金格差の是正が欠かせない」と指摘。ビジネスマッチングや事業承継の支援などで金融機関の果たす役割も大きいと結論付けた。
リポートは人口減の中でも転出が転入を上回る「社会減」に注目し、人口や賃金に関する統計指標から人口流出率は賃金格差に影響され、その背景に労働生産性の格差があることを見いだした。
秋田の労働生産性について、特に技術進歩などを映す全要素生産性(TFP)の寄与度が全国平均を下回ることに着目。原因として(1)企業の営業力が乏しく域外需要を取り込めていない(2)開廃業率が停滞しており新陳代謝が不活発(3)後継者不在率が高く生産性の高い企業が退出する可能性がある――ことを挙げた。
そのうえで、各社の取り組みに加えて「開廃業の促進や円滑な事業承継によって地域全体の資源配分の最適化が欠かせない」と指摘。金融機関に対しても「事業性をよりきめ細やかに評価した金融仲介機能により、中小企業の設備投資を後押ししていくことが期待されている」と求めた。
野見山浩平支店長は「県内企業はまだ仕事の進め方などに無理や無駄が見られる。製造業は細かな見直しや設備投資で、非製造業は待機時間を減らすITの活用などで生産性の改善を進める余地がある」と述べた。
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