西武船橋店が閉鎖、駅周辺の顧客争奪で苦戦
西武船橋店(千葉県船橋市)が閉鎖に追い込まれた背景には、船橋駅周辺での商業施設間の競争激化がある。東武百貨店船橋店(同市)などとの顧客争奪戦に加え、市内にはららぽーとTOKYO-BAYやイオンモール船橋などもあり、西武船橋店は苦戦を強いられていた。西武船橋店は2018年2月末の閉鎖後、複合施設への転換で再出発を目指す。
西武船橋店は1967年9月に開業し、今年は50周年の節目だった。売上高のピークは91年度の551億円で、16年度(169億円)はその3割の水準に落ち込んでいた。正社員86人は配置転換によって雇用を継続する。
船橋市は大型商業施設がひしめく激戦地だ。JR東日本や東武鉄道、京成電鉄の3社が乗り入れ、1日40万人以上が利用する船橋駅には駅直結の東武船橋店もある。駅前ではJR東日本が18年春に商業施設やビジネスホテルが入る複合施設を開業する計画で、駅周辺の競争環境は一段と厳しくなる見通しだ。
このほか、東京湾沿いのJR京葉線の南船橋駅周辺では、ららぽーとTOKYO-BAYや家具店のイケアTokyo-Bayなどの大型商業施設が集積する。マンション開発が進む船橋市は若年人口が増加しており、若者向けの品ぞろえが豊富な湾岸部の商業施設に客足が流れているとみられる。
船橋商工会議所の板谷直正会頭は「50年間、船橋駅前の顔として歩んできた西武船橋店が閉店することになったのは誠に残念。今後は複合施設として駅前のシンボルになってもらうように働き掛けていく」とのコメントを発表した。
船橋市の松戸徹市長も「象徴的な百貨店の閉店は残念。今後はまちにさらなる活気をもたらす施設として活用されることを願う」とコメントした。
来店した千葉県市川市の男性会社員(33)は「ターゲットの年齢層が高い印象があり、普段買い物をする機会は少なかった。ただ、子供の頃からあった百貨店なので、なくなるのは寂しい」と話した。