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岩手の森林再生へ基金 生産・流通・加工業者が機構

2017/6/23 7:00
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 伐採した後に植栽されていない山林を減らそうと、岩手県内の林業・木材産業団体が22日、「岩手県森林再生機構」を設立した。木材価格の低迷で県内の再造林は3割程度にとどまり、将来、資源が枯渇する恐れがある。同機構は基金を設け、森林所有者に植栽の経費を助成する。木材の生産、流通、加工などに関わる事業者が全県的に連携するのは東北で初めて。

 同機構は県森林組合連合会、県森林整備協同組合、ノースジャパン素材流通協同組合、県山林種苗協同組合、県木材産業協同組合、県国有林材生産協同組合連合会、県水源林造林協議会、県チップ協同組合の8団体で構成。

 同日、設立総会を開き、中崎和久・県森林組合連合会会長が理事長に就任した。中崎理事長は「森林が荒れれば、海産物にも悪影響を与える。基金によって豊かな森林を守りたい」と話した。

 各団体の加盟者は原木1立方メートル当たり10円、20円をそれぞれ拠出する。森林再生基金として積み立て、1ヘクタール当たり10万円以内(1件当たり5ヘクタール以下)を助成する計画だ。助成には通常の8割程度に本数を減らす造林方法や伐採から植栽を連続して行うことなどが条件となっている。

 今後、加盟者のほか、合板工場や集成材工場、木質バイオマス発電所などの理解・協力を得て、年間約2400万円を積み立て、約200ヘクタールに助成できると想定している。初年度は約1200万円の基金を見込み、2018年4月以降に助成を始める。森林整備では国と県による補助金制度もあり、合わせれば森林所有者の自己負担を大幅に少なくできるという。

 岩手県は面積の約8割が森林。スギやアカマツ、カラマツなどを植えている。東日本大震災後、再生可能エネルギーが注目され、木質バイオマス発電の燃料としての利用が増えた。15年度の素材生産量は約150万立方メートル。北海道、宮崎県に次いで全国3位となっている。

 県の推計によると、人工林は15年度に約2000ヘクタールが伐採されたが、再造林は659ヘクタールで、約33%にとどまる。特に沿岸部では震災後、生活資金の確保や住宅再建のため伐採が急拡大した。釜石地方森林組合の管内では再造林率が約7%と低く、今春、独自の助成制度を始めた。

 再造林が進まない背景には長期にわたる木材価格の低迷がある。県森林組合連合会によると、安い外国産材が増えたほか、木材を使わないなど建築工法の変化に伴い、森林所有者の収入は1980年のピークに比べ10分の1程度まで減少している。県の試算によると、スギを50年育てて販売し、再造林した場合、森林所有者は1ヘクタール当たり約15万円しか利益が出ない。

 こうした状況が続けば、山林が荒廃して自然災害を誘発するだけでなく、林業や木材産業に携わる事業者が必要とする森林資源が将来枯渇する恐れがある。このため県は24年度に再造林率を約6割まで引き上げることを目標とする指針を策定。県森林組合連合会などは14年度から再造林促進に向けて検討を進めてきた。

 同様の取り組みは大分県や北海道、宮崎県などで始まっている。東北では宮城県が県森林組合連合会や1部の合板工場などによる仕組みを08年に導入している。

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